第9回「民泊サービス」のあり方に関する検討会 速報①(前編)

第9回 「民泊サービス」のあり方に関する検討会を傍聴してきました。
今回、第8回のように目新しいオブザーバーなどの出席はなく、出席前は、話題性はないかなとも思いましたが、そんなことはなく、極めて重要なことが議論されました。それでは、順を追って見ていきたいと思います。

旅館業法遵守に関する通知に係るフォローアップ調査結果

平成27年4月から28年2月にかけての各自治体の違法民泊への対応をアンケート結果としてまとめて公表されました。
厚労省は、各自治体に発出した、平成26年7月10日付、平成27年11月27日付「旅館業法の遵守について」に基づいて、各自治体がどのような対応をしたかという調査結果です。
この統計で、特徴的なのは、ここ最近、特に27年に、相談件数や、指導件数が飛躍的に伸びているということです。無許可営業の把握については、指導文書の効果により、自治体自身が情報収集に乗り出していることもあり、把握している件数は2年で10倍以上になっていますが、ただ、住民からの通報も増えており、ある意味社会問題化しつつあることがわかります。
これに対して、対応はどうかというと、
指導はしたものの…という感じです。27年度には、全国で約1000件近く指導が行われていますが、1/3は廃業、1/3はそのまま継続という感じで、許可(簡易宿所の許可)を取得した者は27年度はたったの35件(4%)しかいません。
都道府県別(自治体別)の資料はないので、この1000件の内訳はわかりませんが、おそらくは、ほとんどが東京、大阪、京都などの大市都市ではないかと推測されます。つまり、指導により許可を取るという選択肢はあるのですが、マンションなどの1室で民泊をやっている場合、設備や用途地域などの関係で、許可を取ろうとしても、なかなか適合させることが困難ということではないでしょうか。

今後の民泊サービスの方向性についての方向性を公表?

ホームステイ型民泊は日数制限!
今回の検討会は、前回、前々回のように百戦錬磨やAirbnb、民泊協会が出席したわけではなく、また、業界団体から目新しい提案があったわけではないので、マスコミなどの話題性には乏しかったかもしれませんが、今後の規制緩和というか、民泊サービスを考えるうえで極めて重要なことが議論されていました。現在のところ、多くの人は民泊解禁という風潮で、
民泊解禁→規制緩和→旅館業法の規制が劇的に緩和される又は、新法制定によりだれでも民泊に参入できるというイメージを持っているかもしれません。
しかし、今回の検討会では、主にホームステイ型の民泊について、一定の要件を設けて、旅館業法の規制を受けない代わりに、海外の例を参考にして、
●年間営業日数に制限を設けるべき
●宿泊人数に制限を設けるべき
などどいう、営業に関する制限について、議論されました。
これは非常に重要なことで、既存の旅館業との調整を図るため「一定の要件」を設けるというものです。
要するに、日数制限を設けることによって、年間稼働率が抑制されてしまということ意味しています。
たしかに、民泊施設がフル稼働すれば、宿泊営業を営むホテル・旅館と何ら変わりがなく、そうであれば、旅館業として営業するのは当然だということなんでしょうが、これは、「民泊」、「旅館業」を明確に区分し、フル稼働したいのであれば、旅館業として簡易宿所の許可を取るようにということになります。
今回は、日数制限の要件が議論の遡上に上ったに過ぎず、現実にこのようになるという確実性はありませんが、少なくとも国はこのように考えているのだということはわかります。
結局のところ民泊を事業としてやろうとする者にとっては、ドラスティクに規制が緩和去れるという展望は、相当甘い考えであり、規制を残しつつ、ホームステイ型のような小規模な民泊については門戸を拡大するにとどまるという方向性が現実味を帯びてきました。次回説明する代行業者や仲介業者についてもそうですが、ある一定のルールの中での規制緩和ですが、用途地域による小売りなどの他の事業とのバランス、消防法や公衆衛生の問題、そして、テロなどの犯罪との調整を考えると、民泊だけ、規制を撤廃するということは現実的にはかなり難しいと思います。
まずは、4月1日の旅館業法施行令の改正に伴う各自治体の動きを見ていくことが重要と思われますので、少なくとも現在の簡易宿所許可の大きな障害となっている「フロント設置要件」や「風呂、トイレに代表される設備の要件」、「用途変更についての技術的適合などの要件」については、自治体の裁量で緩和は十分可能と解されるため、各自治体がこの点を柔軟に対応されることを期待します。これがクリアできれば、合法民泊、つまり簡易宿所の許可は劇的に進むと思います。
※今回私が感じたのは、全然議論されませんが、もっと特区を活用すべきだということです。つまり、特区であれば、住宅をそのまま転用できるので、最低宿泊日数制限さえ緩和されれば、合法化は容易です。ある意味、大田区や大阪の特区認定は、民泊合法化の理想形ともいえるので、旅館業法の規制緩和もいいのですが、特区をもっと活用できるよう推進してもらいたいものです。
※次回(後半)は、代行業者、仲介業にかかわる重要なポイントを説明したいと思います。

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