【湯河原・旅館業申請】老舗温泉街の再興に挑む――旅館業開業が地域の未来と経営の安定を両立させる理由 

神奈川県屈指の歴史を誇る温泉地、湯河原(神奈川県足柄下郡湯河原町)。万葉集にも詠まれ、夏目漱石や芥川龍之介ら文豪に愛された湯河原ですが、今、大きな転換期を迎えています。

日本初の民泊行政書士として10年500件超の許認可に携わる中で、今ほど「湯河原での宿泊業」に可能性を感じる時はありません。今回は、熱海や箱根など超ド級の観光地の間で奮闘する温泉地湯河原の魅力と可能性を解説いたします。


2026年現状| 湯河原の「今」:観光客は半減、宿は130軒から70軒へ 2026現在

かつて湯河原には130軒を超える宿泊施設がを連ねていました。しかし、バブル崩壊後の団体客減少、そして近年のパンデミックを経て、その数は約70軒にまで減少しています。

  • 人手不足と高齢化: 廃業の理由は需要不足だけではありません。経営者の高齢化や後継者不在により、惜しまれつつ暖簾を下ろす老舗が多い
  • シャッター通りの危機感: 宿泊施設が減れば、周辺の飲食店や土産物店も活気を失います。かつての賑わいを知る地元の方々からは、街が静まり返ることへの強い危機感の声が聞こえてきます。

●観光客数(延べ人数)の比較

湯河原町の公式資料(宿泊税検討委員会報告書など)に基づくと、最盛期と直近の状況は以下の通りです。

項目最盛期(1990年/平成2年)直近(2021年〜2023年頃)減少率
延べ観光客数約846万人約350万人約58.6%減
観光消費額約217億円約98億円約54.8%減

●日帰り客へのシフト

かつての湯河原は「泊まりで宴会」が主流でしたが、現在は宿泊を伴わない日帰り客の割合が増えています。延べ人数に含まれる日帰り客の比率が高まったことで、一人あたりの観光消費単価が下がり、町全体の「観光消費額」は観光客数の減少幅以上に厳しい状況に置かれてきました。

●箱根・熱海との格差

また、近隣には、あつとっ的なブランド力を誇る熱海や箱根があり、近隣観光地と比較すると、その減少ぶりが際立ちます。

  • 箱根町: 早くからブランド化とインバウンド対応に成功し、年間約2,000万人規模を維持し、行政力指数は県内ダントツを維持しています
  • 熱海市: 2010年代以降、若年層向けのSNS映えスポットや食べ歩きグルメで「奇跡の復活」を遂げ、宿泊客数をV字回復で、全国でも有数の観光地に返り咲き
  • 湯河原町: これら強力な競合に挟まれ、ターゲット層(中高年の静養客や宴会客など)の高齢化と共に客数が減少の一途をたどってきました。

それでも「湯河原」がおすすめの理由

衰退という側面がある一方で、湯河原には他の温泉地にはない圧倒的なポテンシャルがあります。

  • ちょうど良い距離感: 品川から新幹線で約1時間。車でも2時間程度。この「近すぎず遠すぎない」立地は、ワーケーションや週末の短期リピート客にとって最高の条件です。
  • 大人の隠れ家としてのブランド: 箱根のような派手さはありませんが、その分「静謐さ」を求める富裕層や文化人層からの支持が厚く、高単価な施設設計が可能です。
  • リノベーションの土壌: 近年では、万葉公園の再整備(湯河原惣湯)や、古い旅館を活かした一棟貸し、アート旅館など、新しい感性による再生事例が相次いでいます。

※新しくホテルを建設するよりも、趣のある既存施設をリニューアルするのがよいでしょう。最近では、小型の旅館や民家を改築、リフォームし、予約システムなどを現代化した新しい取り組みの宿泊施設が増えてきつつあります。

湯河原の歴史とモダンが融合する注目の宿泊施設

施設名特徴・リニューアルのポイント公式サイトURL
富士屋旅館江戸時代創業の老舗が17年ぶりに復活(2019年・リニューアル)。大正時代の建築美を忠実に復元した「旧館」が話題。https://fujiyaryokan.jp/
湯河原風雅旧「阿しか里」の伝統ある建物を継承。アンティークと現代美が融合した、ノスタルジックな大人の隠れ家。https://yugawara-fuga.com/
源泉 上野屋登録有形文化財の本館に加え、2022年にモダンな「別邸」をオープン。伝統と現代アートが融合。https://www.uenoya-net.jp/
湯河原リトリート 円荘2024年4月開業。古い建物を活用し、心身を整える「リトリート」をテーマにしたミニマルな空間。https://enso-yugawara.jp/
三輪 湯河原世界的なデザイン賞を受賞。古い旅館跡地に誕生した、全室露天風呂付きの極上モダン旅館。https://miwa-yugawara.jp/
湯河原惣湯万葉公園内の施設を「本と温泉」をテーマに再生。現代の湯河原を象徴する人気スポット。https://yugawarasoyu.jp/

湯河原は現在、かつての団体向け温泉街から、こうした「リノベーション」や「高付加価値化」によって、感度の高い大人が集まる場所へと徐々に再定義されつつあります。


今、旅館業に参入するメリット

「衰退」は裏を返せば、「参入障壁が低くなっている好機」でもあります。

  1. 優良物件の流通: 伝統的な建築美を残した廃業物件や、リノベーションに適した古民家が市場に出やすくなっています。
  2. 行政のバックアップ: 湯河原町では「観光立町」として宿泊税の検討や観光インフラの整備を進めており、新規参入者への期待が高まっています。
  3. 多様な宿泊ニーズ: 旅館業法上の「旅館・ホテル」として許可を取ることで、一棟貸しから長期滞在型まで、幅広いビジネスモデルを展開できます。

高いハードル「旅館業許可」をどう超えるか

湯河原で旅館業を始める際、最大の障壁となるのが「複雑な法規制」です。

  • 用途変更の壁: 一般住宅や古い建物を旅館にする場合、建築基準法や消防法の高い基準をクリアしなければなりません。
  • 自治体独自の条例: 温泉地特有の規制や、周辺環境への配慮など、専門知識なしでは手続きが停滞するケースが多々あります。※神奈川県は全国的に見てもかなり規制が厳しい地域です。

旅館業開業に関する法的規制一覧

「せっかく素晴らしい物件を見つけたのに、許可が下りず開業できない」。そんな悲劇を防ぐのが、私たち行政書士の役割です。

許可   旅館業法神奈川県旅館業法施行条例保健所の営業許可が必要です。客室面積、換気、採光、清潔な寝具の提供、玄関帳場(フロント)の設置などが義務付けられています。
建物構造建築基準法建物の用途を「旅館・ホテル」に変更する場合、確認申請が必要です。特に古い建物は、耐火構造や竪穴区画(階段回りの防火戸など)の改修が必要になるケースが多いです。
火災安全消防法自動火災報知設備、誘導灯、スプリンクラー(規模によります)等の設置。所轄の消防署から「消防法令適合通知書」を取得する必要があります。
立地規制都市計画法湯河原町内の「用途地域」により、旅館が建てられない区域があります。また、学校や児童福祉施設が近くにある場合、照会手続きが必要となります。
衛生管理公衆浴場法や衛生管理要領大浴場を設ける場合、レジオネラ症防止対策や循環ろ過装置の設置基準を遵守する必要があります。
税制湯河原町宿泊税条例など2026年4月1日より施行。 宿泊客から1名1泊につき300円(宿泊料5万円以上の場合は500円)を徴収し、町へ申告・納入する「特別徴収義務者」としての登録が必要です。なお、住宅から宿泊施設に用途を変更する場合、固定資産税軽減税率が受けられなくなれば愛があります。

このように大きな規制がありますが、既存の旅館業施設をリニューアルしたり営業譲渡を受けたりする場合というのは既存不適格のような物件であったとしても一定程度要件が緩和される傾向があります。一方、廃業して年数の経ったホテルや旅館を復活させる場合や普通の住宅を宿泊施設に用途変更して旅館業の許可を取得する場合はてん上記のようなさまざまな論点から考察する必要があります。


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お問い合わせ・ご相談

湯河原での旅館業許可・民泊届出に関するご相談は、下記フォームよりお気軽にどうぞ。


お問合せはこちら メールメアドレスinfo@fujino-gyosei.com

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