旅館業法規制緩和スタート 規制緩和VS規制強化

4月1日、いよいよ旅館業法施行令が改正されました。

先日から、説明しているとおりですが、

●簡易宿所の面積要件の緩和 延べ床面積33㎡→一人当たり3.3㎡

●玄関帳場(フロント)設置要件の緩和

が正式に施行されました。※詳しくは、★重要★2016.4.1旅館業法施行令改正の内容をご覧ください。

厚生労働省の通知はこちらです。※通知の内容については、次回詳しく逐条解説していきます。

さて、これはあくまで国の方針ですが、昨日から本日にかけて、たくさんの民泊関連ニュースが飛び交いましたが、ここでトピックスをまとめてみたいと思います。

大阪で特区民泊解禁申請第一号は

4月1日、大阪では特区民泊が解禁(条例が施行)したわけですが、予想通りというか、第一号申請はやはり、とまれる(STAY JAPAN)でしたね。この会社は特区民泊にターゲットを絞っており、ほぼ特区民泊専用のサイトを作って運営していますが、特区民泊の利点に早くから着目している点では、他の業者とは一線を画しています。

ただ、特区民泊は、この業者の申請が目立ち、一般の方からの申請はごくわずかとなっています。これは旅館業法の規制緩和の様子見なのかもしれませんが、申請に携わった経験から考えると、活用しないのは非常にもったいないと思いますね。

特区民泊の利点については、3/26日の記事の中で紹介しています。

旅館業法施行令改正にあわせて、まさかの条例強化!

国の方針に反し、4月1日から、軽井沢町や台東区などが相次いで条例等を強化しました。理由は様々あるとは思いますが、国の政策に待ったをかけたわけです。この辺が旅館業法というか、許認可行政の難しいところですね。

台東区

条例の簡易宿所の規定に、
●玄関帳場(フロント)の設置義務
●従業員常駐

の要件を加えています。これにより、台東区では、ワンルームマンションや共同住宅での民泊許可は非常にとりにくなるといえるでしょう。おそらく区は、安全・衛生に配慮した形をとったのだと思いますが、国の方針には逆行していますね。

軽井沢町

言わずと知れた長野県の大観光地の軽井沢ですが、町独自の民泊施設等の取扱基準を設けて、民泊禁止の意思表示をしました。おそらく、貸別荘の民泊転用を阻止しようという考えなのですが、旅館業法の許可権者は長野県なので、町の決定自体に強制力はありません。

なぜ、町がこのような方針を出したのか、真偽のほどはわかりかねますが、軽井沢は、民泊についてはいわくつきの地域です。

これは、2014年「Yahooトラベル」が貸別荘を会員(Yahooの会員ですね)に1泊から貸し出そうとして、長野県保健所からストップがかかったものです。県は、運営会社に簡易宿所の許可がないため、旅館業法に抵触するとの見解を示されたため、Yahooトラベルの計画は頓挫しました。Yahooトラベルは会員制ホテルか保養所の感覚だったのでしょうが、保健所は待ったをかけたわけです。

ちなみに、会員制ホテルや保養所は、旅館業なのかという疑問がありますが、厳密にいえばあやふやなところですね。有償で泊めていることには変わりありませんが、会費が宿泊料なのかどうかは厳密にはわかりません。法律上は、都度会員が利用料を払うようなスタイルの場合、旅館業とみなされるという考え方が優勢です。会員権を正式に販売すれば文句はないのでしょうけど。

ただし、管轄する自治体の裁量が大きいので、当時のYahooトラベルのように自治体に「ノー」といわれれば、どうにもならないのが現状です。おそらく当時の運営会社も許可取得ヘの道は考えたのかもしれませんが、費用対効果としては、どうだったんでしょうか。

ちなみに長野県自体は、許可を取って営業するように喚起していますね。

今後の展開はどうなるかは不透明ですが、マスコミやネットのニュースでは、面積要件緩和でワンルーム民泊解禁などと大々的に報じられていますが、現実はそう簡単ではないと思います。

そして、規制緩和に伴い、曲がりなりにも許可基準がオーソライズされたともいえるので、ある程度の取り締まりなども想定しておかなければならないのかもしれませんね。

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