横浜市の旅館業・住宅宿泊事業の要件

横浜市は、神奈川県最大の人口を有する自治体で、3700万人の人口抱える巨大な政令指定都市です。観光資源は豊富で、横浜港の歴史的建造物等は得な有名です。

横浜市の基本データと観光客等の統計

面積 437.56km2
総人口 3,748,781人(2019年10月1日推計)
人口密度 8,567人/km2

以下横浜市の公表データで重要な部分をご紹介します。

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出典:横浜市文化観光局観光課資料 H30

https://www.city.yokohama.lg.jp/kanko-bunka/miryoku/data/2018kanko-chosa.files/30chosa_press.pdf

統計データを見ると、横浜市は、宿泊者数が伸び、逆に日帰りが現状していることが分かります。

これは、従来、旅館業法により規制されていた旅館業(旅館、ホテル、簡易宿所)が2019年6月の法改正により、規制はやや緩和され、また、住宅宿泊事業を含め、宿泊施設の開業か容易になったからでしょう。具体的には、旅館業法の最低室数の要件と、建築基準法の用途変更に係る申請面積の緩和が大きく、新規開業も増えていますが、東京都の激戦区に比べ、まだまだ伸び率は緩やかです。

横浜市のホテルや旅館の件数(許可件数)

横浜市公表資料を基に集計

横浜市の現在の旅館業許可件数(旅館ホテル、簡易宿所の合計。現在稼働中のもの)390施設(許可番号の数)     
 うち、~平成26年末までに許可されたもの315施設
    平成27.1.1~平成30.6.15までに許可されたもの50施設
    平成30.6.15~令和元年8.30までに許可されたもの26施設
住宅宿泊事業の登録住宅数 平成30年3月末現在105件

(※参考:上記 最近の旅館業申請:平成30.6.15~令和元年8.30までに許可されたもの26件中、当事務所申請又は関与は3件です。)

なお、旅館業許可がそれほど伸びていない理由としては様々ですが、一般的には、依然とし手許認可の難易度の高さで、横浜市は、旅館業法以外にも、消防法令などが厳しく、みなとみらい、馬車道、中華街など有名な観光地のはほぼ全域が防火地に指定されています。

横浜市の旅館業や付随法令に基づく許認可

旅館業の許認可については、横浜市は、独特のスキームがあります。他の自治体では、あまり見られない事前審査が義務化されています。この審査会は以下のような関係先に事前に審査するもので、旅館業の申請でよくある【距離証明】とは別物です。距離証明は、限定的に近隣の関係先や学校などの照会先が対象だったりしますが、横浜市の事前審査の対象先、や設置される会議は少なくとも以下の通りで、主に外観や構造設備などの建物のハード部分などが検討されると解されます。

  • 建築相談室(環境保全条例)
  • 旅館等外観調整会議
  • 学校、公園等の関係行政庁(旅館業法上の照会対象)

なお、所管する部署は、〇都市整備局都市デザイン室〇建設局中高層調整課〇同建築企画課〇建築審査課〇健康福祉局生活衛生課〇該当区の区政推進課〇該当区の生活衛生課 と考えられ、同部署の長(課長級)が委員となって審査が行われます。

旅館業法の申請

申請前に、事前に審査会が行われ、これに伴い、学校等の意見も聴取されます。したがって、審査会の意見により、本申請の内容に影響する場合があります。

※なお、住居系の用途地域にあっては、これ以外に【 横浜市中高層建築物等の建築及び開発事業に係る住環境の保全等に関する条例 】に基づき、住民説明会を行う必要があり、添付資料として、日影図等、通常はデベロッパーが行うような相当専門的な事項を説明する必要があり、むしろこちらの条例が申請件数が伸びていない大きな要因となっているのではないでしょうか?(日影図作成等については当事務所で対応事例あり)

①ヒアリング➡②事前審査➡③旅館業申請➡④検査➡⑤営業許可 となります。

※旅館業の許可の要件としては、【消防法令適合通知書の添付(原本)】が必要です。

※住居系地域については、【 横浜市中高層建築物等の建築及び開発事業に係る住環境の保全等に関する条例 】に基づき、住民説明会を申請前に行う必要があります。

※景観条例の適応地域については、別途、申請が必要です。

参考:ICT機器での対応についての注意点

ICT機器 (Information and Communication Technology 、IOTともいいます)が、一般的にはタブレット端末、カメラ、通信機器等を設置することにより、フロント機能をIT化・無人化できますが、他の自治体では、これらの機器と駆けつけの要因かが確保できれば、フロントの省略が可能ですが、横浜市の場合は、駆けつけ要因に加え、以下の要件がありますので、注意が必要です。具体的には、フロント機能を行う事務処理を行う事務所を申請時に決定する必要があり、資料は公表はされていませんが、

  • 直線距離で1100m以内の当該旅館管理者等が管理する事務所等にある区画された場所

とありますので、少なくとも事務所機能有する場所を確保し、申請時に提示が必要となります。フロントが申請する施設の中にはないが、独立して存在するといったイメージです。

付随手続き|3つの主な付随申請業務

消防設備の設置等

横浜市は独自の消防本部があり、したがって、市独自の条例が制定されています。歴史的建造物が多数あることも影響してか、本則(総務省所管の消防法)とは異なる規定もあり、また過去に横浜市独自の基準で設置された設備については、現在の規定と乖離する場合もあり、かなり複雑ですので、ますのでご注意ください。

手続きの流れ

消防設備設置→消防検査→防火対象物使用開始届  ※消防法令適合通知書取得→保健所に提出

景観条例

景観法や市条例(景観条例(横浜市魅力ある都市景観の創造に関する条例))に基づき制限される区域があります。

具体的には、建築物、工作物に関する高さ、色等の制限で、届出又は協議が必要となります。対象の区域は、

【建築物・工作物に関する制限がある横浜市の3地区】
○関内地区(管轄:都市整備局都心再生課 045-671-2673)
○みなとみらい21中央地区(管轄:都市整備局みなとみらい21推進課 045-671-3516)
○みなとみらい21新港地区(管轄:港湾局賑わい振興課 045-671-7342 )

となっており、景観条例は地域性により各自治体でまちまちですが、外壁や看板などの色などの規制が主で、横浜市の場合、色の規制が厳しくなつており、工作物も対象ですから、自動販売機やコンビニの看板なども規制されていて、明度、彩度の低い茶色っぽいものになっていたりします。

https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/toshiseibi/keikanchosei/jourei.files/0015_20191004.pdf

出展横浜市公式サイト https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/toshiseibi/keikanchosei/keikanseido/keikaku-kyougi.files/0036_20180920.pdf

横浜市中高層建築物等の建築及び開発事業に係る住環境の保全等に関する条例

具体的には住居系の地域で、一定の高さの建物建設する場合の規定

説明会で提示する添付図書は以下のとおりですが、旅館業法の申請以上に図面が必要となります。

  • ①付近見取図
  • ②配置図
  • ③各階平面図
  • ④立面図
  • ⑤2面以上の断面図 (建築基準法施行令第 2 条第 2 項の地盤面を記入してください。)
  • ⑥実日影図(建築物に附属する工作物を含みます。) ⑦関連局との協議状況表 ⑧真北の確定資料
  • ⑨その他説明会案内、議事録、標識設置届時点から変更があった 場合には近隣説明資料 等)

特に作成が困難なのは日影図です。この条例の目的は、一定時間以上の時間、建物の影(日陰)が生じないよう、建物の高さを制限するというものですが (具体的には、冬至(12月22日ごろ)を基準として、全く日が当たらないことのないよう建物の高さを制限する規制(法源は、建築基準法)) 、日影規制を確認するための影がどのようにかかるのかを表す図が日影図です。以下、横浜市の説明図のリンクを掲載します。

https://www.city.yokohama.lg.jp/business/bunyabetsu/kenchiku/tetsuduki/jorei/chukosojorei/jorei.files/0045_20190401.pdf

規制の内容

対象建物は、旅館業の場合、10m超で住居系の地域に存するものです。本来建設する際の基準で巣が、横浜市の場合は、営業許可についても同様とされています。

近隣の範囲は、日影図で影ができる地域です。

届出書類一覧、標識の設置も必要です。

日影図見本

その他、箱根の回でもご紹介しましたが、当然、温泉や公衆浴場、飲食店(レストラン併設)などがある場合、関連した手続きが必要です。

住宅宿泊事業

住宅宿泊事業に関しては、他の自治体とそれ程異なる基準はありませんが、

●建築協定や地区計画の対象地域での規制 ●水質汚濁防止法の届出 ●用途地域の規制

https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/seikatsu/kaiteki/20180222105955.files/01_chirashi.pdf

などがあり、届出に対する難易度は、やや高くなります。

また、住居専用地域のうち【第1種低層住居専用地域】と 【第2種低層住居専用地域】は制限され、つまりは、平日の営業が禁止されています。

参考:横浜市でオススメの地域

上記、中高層建築物等の規制にかからない地域、つまり商業地域、近隣商業地域、準工業地域がおすすめで、この中から選択するとよいと思います。

なお、昭和50年前後の建物については、横浜市が独自の基準で自火報等の設置の緩和を行っていた時期があり、当時の緩和を受けた建物の旅館業への転用の場合、大規模な消防設備工事が必要になる場合がありますので、この点を注意ください。この年代の大型のマンションやアパートから転用は注意が必要です。

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