民泊にかかる費用7選|番外編 収益についての考え方【物件利回り】民泊利回りの定義

不動産における利回りについては、表面利回りと実質利回り、つまりグロス(表面)利回りネット(実質)利回りの計算方法がありますが、民泊についての、実質利回りの計算方法を解説していきます。

先ず、不動産についての利回り計算を簡単にお話しします。

こちらの概要解説もご覧ください。

表面利回り

表面利回り(グロス)=A年間総収入/B投資金額×100(%)

つまり、年間賃料が600万円(月々5万円×12月×20室)、不動産価格が5000万円の場合、6,000,000円/50,000,000円×100=12%ということになります。これは、初期費用や空室率などを一切省いた単純な計算ですが、直感的に物件利回りを計算する場合は、表面利回りで計算します(※不動産投資家や不動産業者が広告チラシレベル個別の案件をとりあえず目星を付けるために一括検討する場合に、細かい費用や想定利回りは考えないのが通常で、個別に検討する段階で初めて実質利回りを計算します。)

ちなみに賃貸物件を転貸する場合は、分子を利益(貸し付ける賃料-大家に払う賃料)、分母を大家に払う賃料に置き換えるとよいでしょう。

実質利回りについては、不動産投資の場合は、

A年間総収入➡年間の家賃収入―(管理費、修繕積立金、税金、保険料(火災保険))

なお、これは入居率が100%の場合の想定利回りですので、実際はこれを下回る場合があります。

B投資金額➡物件金額に税金や取得額などを加えます。

※金利を加えるかどうかは、ご判断ください。一般的には、金利と利回りを比較するため、金利は除外したほうがよいでしょう。

実質利回り=(1年間の満室家賃収入×(1-空室率)-1年間の維持管理経費)/(不動産の購入価格+不動産の購入にかかる諸経費)×100

民泊・旅館業の場合の計算|民泊利回りの定義

旅館業の場合は、上記の物件の取得費にランニングコストを加え、また、収益の部分(賃料の部分)を宿泊費で計算するとよいでしょう。

A年間総収入

年間の賃料合計(Ex.1日当たり平均宿泊費×365日×想定稼働率)-代行費用などのランニングコスト

ランニングコストを利益から控除します:▲管理費、代行費用、管理費、修繕積立金、税金、保険料(火災保険)等の年間ランニングコスト

B投資金額

物件金額+(税金+取得額+工事費、申請費用などのイニシャルコスト)

民泊の利回りで一番重要なのは、利益から、ランニングコストを控除するという点で、これがけつこうな割合になるわけです。

民泊・旅館業の場合の利回り(例)

ここで、一例を紹介します。同じ価格のアパート(木造2階建て、10室想定)を賃貸と旅館業て比較してみましょう。

物件詳細賃貸旅館業
月額家賃収益/月間宿泊料
5万円/1室×10室=50万円 3000円(1日)×30日×10室=90万円
件購入価格
5,000万円5,000万円
物件購入にかかる諸経費
250万円
(購入価格に対して)5%
500万円
(購入価格に対して)10%
投資総額
=❷+❸
5,250万円5,500万円
1年間の満室家賃収入
❶×10日×12月
600万円1,080万円
空室率
(1-空室率)×100で稼働率
10%10%
1年間の維持管理経費
120万円
(例えば総収入に対して)20%
※満室として計算
324万円
(例えば総収入に対して)30%
※満室として計算
実質利回り


8.00%

(600万円*0.9-120万円)/(
5,000万円+250万円)

➡420万円/5,250円×100
11.78%

(1080万円*0.9-324万円)/(
5,000万円+500万円)

➡648万円/5,550円×100

個別の項目で重要なものを比較してみましょう

❶賃料と宿泊料収入についてですが、少なくとも年間の収入が賃料を相当量上回る想定ができることが重要です。

なお、部屋の面積などが広く、高い宿泊料を想定できる物件であっても、時期によって利用客にかなり差があるような地域などは(ハイシーズンとオフシーズンの差が大きい観光地など)注意か必要ですので、近隣のホテルや民泊をリサーチし、年間どの程度稼働できるのかを想定しましょう。その点では、利回り計算上❻の空室率が最も重要で、これ場賃貸物件においても同様です。

旅館業と賃貸住宅とで最も異なるコストは維持管理経費です。民泊や旅館業の場合は、賃貸での想定額に加え、集客・ゲスト対応などの外注費や清掃コストなどが日常的にかかります(小規模な場合は管理業務や集客業務は代行業者に代行を依頼することを想定)。

外注する場合、代行費用が平均20%であることを鑑み、少なくとも売り上げの30%程度は想定しましょう。

住宅宿泊事業の場合の注意点

住宅宿泊事業の場合は、年間の稼働日数の上限がありますので(最大180日(泊)/年)、宿泊施設としての稼働率は、最大でも180/365=49.31%です。したがって、稼働率50%で単純に計算すると、以下のとおりとなります。

物件詳細賃貸住宅宿泊事業
月額家賃収益/月間宿泊料
5万円/1室×10室=50万円3000円(1日)×30日×10室=90万円
物件購入価格
5,000万円5,000万円
物件購入にかかる諸経費
250万円
(購入価格に対して)5%
500万円
(購入価格に対して)10%
投資総額
=❷+❸
5,250万円5,500万円
1年間の満室家賃収入
❶×10日×12月
600万円1,080万円
空室率
(1-空室率)×100で稼働率
10%50%
1年間の維持管理経費
120万円
(例えば総収入に対して)20%
※満室として計算
162万円
(例えば総収入に対して)30%
※稼働率50%で計算
実質利回り


8.00%

(600万円*0.9-120万円)/(
5,000万円+250万円)
➡420万円/5,250円×100
6.87%

(1080万円*0.5-162万円)/(
5,000万円+500万円)
➡378万円/5,550円×100

この場合、計算上は賃貸住宅よりも低くなります(同じであれば、それだけでも投資する価値はあるでしょう)。

なお、マンスリーマンション、定期者塚契約との併用で考える場合は、上記稼働率に、残りの185日の収益等を上乗せし計算して下さい。

上記の計算では、賃貸と住宅宿泊事業との利回りの差(乖離)し1パーセント程度ですので、金額にして約50万円程度利益を上乗せすることができれば、住宅宿泊事業≧賃貸という図式が成立します。

今回は、計算方法を単純化して説明しましたが、実際の物件を運営する場合は、特に収益と空室率を重点的に分析して下さい。

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