【民泊概論】民泊参入者のための基礎知識1|宿泊関係3法

当サイトは、姉妹サイトとともに、主に事業(ビジネス)という観点から4年間民泊についての解説を中心に記事掲載してきましたが、今回から5回シリーズで、民泊の基礎概念や、規制改革の変遷をダイジェストでご紹介します。※初心者向けですが、中級者以上の方も振り返りとしてご活用いただければと思います。

詳細については過去記事のリンクを掲載してきますのでご覧ください。今回は宿泊に関係する3つの法律についての解説です。

民泊とは何か?|3つの宿泊関連の法律

民泊とは、少なくとも5-6年くらい前には日本に存在しない概念で、民宿は一般的でしたが、聞いたことがないワードでした。

旅行者などが、一般の民家に宿泊することを一般的に意味する日本語の表現で、特に、宿泊者が対価を支払う場合に用いられる

出典 Wikipedia

民泊サービスのあり方検討会で、概念が定義され、現在は関連法が複数が施行されて、一般的になりましたが、多少解釈が違いますので、民泊は旅館やホテルと同様の宿泊事業であると考えてください。

日本では、宿泊事業を管轄する法律として以下の3法が存在します。

宿泊関連3法と借地借家法との相関図

かy旅館業法

従来からある宿泊施設の定義を規定した法律で、同法に基づき、旅館・ホテル、簡易宿所、下宿が定期されています。

●宿泊料を受けて

●人を宿泊させる営業

が旅館業であると定義されています。

旅館業は許可制で、事業者及び建物について与える許可のため、建物については、建築基準法、消防法その他関係する法令に適合する必要があります。

旅館業法の許可を取得すれば1年中営業することが可能です。

旅館業法では、次の4つのタイプの分類があります。

法改正前の基準(2018.6.15以前)

2018.6.15法改正後の基準

種類 旅館・ホテル営業 簡易宿所営業下宿 参考※特区民泊 (大田区、大阪府、大阪市)
定義 ベツドを使用す,様式のホテルと布団を使用する旅館が統合され「旅館・ホテル営業となりました。 宿泊する場所を多数人で共用する構造設備を設けてする営業 1か月以上の期間を単位として宿泊させる営業   特区法に基づく。6泊7日以上(大阪は2泊3日以上、大田区は非常照明等の要件を満たせば2泊3日以上)の賃貸借契約による
一般的な呼称、例示 例示 (規模により異なる場合もあります) シティホテル、ビジネスホテル、コンドミニアム、モーテル、 温泉旅館、割烹旅館、民宿な、ウィークリーマンションなど 民宿、ペンション、ユースホステル、カプセルホテルコンドミニアム、一部の貸別荘、ドミトリーなど国家政略特別区域内の認定施設(簡易宿所と類似)      
定員、面積など 規模と定員 10室以上 ※2018.6.15の法改正により部屋数の基準はなくなりました。 (洋室9㎡、和室7㎡) 1人当たり3㎡以上 ※自治体より例外あり延床面積33㎡ 一人あたり3.3㎡(10名未満の場合) 1人当たり3㎡以上(2段ベッド使用は1.5㎡)    1居室の床面積が壁芯25㎡以上 1人当たり3㎡以上      

※収納などは、面積の計算から除き、原則として、内法(うちのり)で計算するので、実際の建築面積(壁芯面積)よりも狭くなります(※注意:条例で異なる場合あり)。

※1人当たり3㎡の面積が有効面積(定員(簡易宿所は2段ベッドなどを想定しているのでその半分=1.5㎡)) ※民泊に関しては、民泊のページをご覧ください。

ホテル (例)
旅館 (例)
簡易宿所(例)

自治体により独自ルールが存在し、許可主体となる自治体の数だけ独自ルールがあると認識して下さい。 ※旅館業法は、地元保健所に許可権限を設定された生活衛生関連7業種(飲食業、旅館業、理容業、美容業、興行場、クリーニング業、公衆浴場)のうち、最も地域の独自性の強い法律です。

国家戦略特別区域法 |特区民泊

第2次安倍内閣の目玉ともいえる岩盤規制の撤廃の目玉として、実証実験的に行われた制度で、2泊3日(~9泊710の最低宿泊日数を上限に、旅館業法よりも建物等の基準を緩和し、住宅をそのまま宿泊施設に転用することを容易にした法律で、実際には、対象となった経済特区の自治体が条例を制定して初めて効力が生じます。

住宅宿泊事業の全身とも言われていますが、現在も廃止されておらず、独自の宿泊施設に関する法律として存在します。ウィークリーマンションと最も相性の良い民泊です。

現在、東京都大田区、大阪府、大高府、大阪市、八尾市、北九州市、新潟市、千葉市で条例が制定されており、実際に機能しているのは、大田区、大阪市、大阪府、北九州市です。

出展国土交通省資料 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/pdf/shiryou_tocminpaku.pdf

特区民泊についての詳細はこちら

住宅宿泊事業法|民泊新法

2019.6.15に施行された法律で、180日/年間の営業日数制限を設ける代わりに、届出制により、一般住宅等で民泊(宿泊サービス)を営業してもよいこととなりました。

※消防法上は、当該住宅宿泊事業であっても、家主不在型(無人の運営)については、ホテル旅館同等に取り扱われますので、消防設備の設置についてはご注意ください。

住宅宿泊事業法の制度としての柱は以下の3つとなります。

(1) 住宅宿泊事業に係る届出制度の創設

(1) 住宅宿泊事業に係る届出制度の創設

[1] 住宅宿泊事業※1を営もうとする場合、都道府県知事(保健所設置自治体は市区町村長)※2への届出が必要
[2] 年間提供日数の上限は180日
[3] 地域の実情を反映する仕組み(条例による住宅宿泊事業の実施の制限)を導入
[4] 住宅宿泊事業の適正な遂行のための措置(宿泊者の衛生の確保の措置等)を義務付け
[5] 家主不在型の住宅宿泊事業者に対し、住宅宿泊管理業者に住宅の管理を委託することを義務付け
※1 住宅に人を180日を超えない範囲で宿泊させる事業
※2 住宅宿泊事業の事務処理を希望する保健所設置市又は特別区においてはその長
(2) 住宅宿泊管理業に係る登録制度の創設
[1] 住宅宿泊管理業※3を営もうとする場合、国土交通大臣の登録が必要
[2] 住宅宿泊管理業の適正な遂行のための措置(住宅宿泊事業者への契約内容の説明等)と(1)[4]の措置の代行を義務付け
※3 家主不在型の住宅宿泊事業に係る住宅の管理を受託する事業
(3) 住宅宿泊仲介業に係る登録制度の創設
[1] 住宅宿泊仲介業※4を営もうとする場合、観光庁長官の登録が必要
[2] 住宅宿泊仲介業の適正な遂行のための措置(宿泊者への契約内容の説明等)を義務付け
※4 宿泊者と住宅宿泊事業者との間の宿泊契約の締結の仲介をする事業

政府発表を引用

短期賃貸借と旅館業

因みに、旅館業法にあるように宿泊事業の規制は「有料で宿泊させるサービス」の制限であり、無料で泊める場合や賃貸借契約(不動産賃貸)の場合は、対象外です。

気を付けていただきたいのは、短期の賃貸借で、1月未満の賃貸借で、寝具などを一緒に貸し出す(家具付き賃貸)のウィークリーマンションなどは、旅館業法の規制対象となりますのでご注意ください。

ウィークリーマンション➡旅館業法で規制。原則として上記3法のどれかの許可を取る必要あり。

マンスリーマンション、賃貸住宅➡寝具や衛生関係のサービスがなければ、1月以上の賃貸は、借地借家法の対象となり、宿泊サービスではない。したがって仲介できるのは宅地建物取引業者の許可が必要で、単なる民泊の代行業者が仲介することは宅建業法に抵触。仲介し報酬を得るためには宅地建物取引業の免許が必要です。

貸しルーム・レンタルルーム➡風営法の対象の場合あり(風営法第2条第6項「店舗型性風俗特殊営業」該当ケースあり。) 。その場合、寝具の提供不可

※定義:営業施設内に個室を設け、その個室内に長イスその他の設備があり、専ら異性を同伴する客の休憩の用に供する施設

スペースマーケットなどのレンタルスペース➡法対象外ですが、寝具の提供や宿泊させると旅館業法違反

※旅館業法違反は、罰則がありますので(最高で懲役6か月、罰金100万円の併科)ご注意ください。

参考通達

○旅館業法運用上の疑義について
(昭和六三年一月二九日)
(衛指第二三号)
(各都道府県・各政令市・各特別区衛生部(局)長あて厚生省生活衛生局指導課長通知)


標記について、東京都衛生局環境衛生部長より照会〔別添1〕があり、〔別添2〕のとおり回答したので、通知する。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〔別添1〕
(昭和六二年一二月二五日 六二衛環第七二七号)
(厚生省生活衛生局指導課長あて東京都衛生局環境衛生部長照会)
近年、社会需要の多様化に伴つて、新たな営業形態を持つ施設が出現しており、本件もいわゆるウィークリーマンションと称する短期宿泊賃貸マンションとでもいうべき施設で、旅館業と貸室業の中間的な営業形態をもつものと考えられます。
旅館業法の運用にあたつては、昭和六十一年三月三十一日付衛指第四四号厚生省生活衛生局指導課長通知が示されているところですが、本件の旅館業法上の取り扱いについて疑義が生じたため、至急ご回答願います。
(施設の状況及び管理等)
1 施設は既存のアパート、マンションの空室又は専用に建築した室を賃貸する。
2 利用日数の単位は、一週以上とし最長制限の定めはないが、実態としては一~二週間の短期利用者が大半である。
3 利用者は手付金を支払つて予約し、入居時までに物品保証金及び利用料等を支払い賃貸契約を締結した上、入居する。
4 客室には日常生活に必要な設備(調理設備、冷蔵庫、テレビ、浴室、寝具類等)が完備している。
5 室内への電話器、家具等の持ち込みは禁止している。
6 利用期間中における室内の清掃等の維持管理は、全て利用者が行う。
7 シーツ、枕カバーの取り換え、浴衣の提供等リネンサービスは行わない。
なお、利用者からの依頼があれば請け負い会社を斡旋する。
8 食事は提供しない。
9 光熱水費は各個メーターで契約解除時に別途清算する。
10 本施設の利用者は、主として会社の短期出張者、研修生、受験生等である。
(質問点)
昭和六十一年三月三十一日付、厚生省指導課長通知によれば、旅館業法にいう「人を宿泊させる営業」とは
1 施設の管理・経営形態を総体的にみて、宿泊者のいる部屋を含め施設の衛生上の維持管理責任が営業者にあるものと社会通念上認められること
2 施設を利用する宿泊者がその宿泊する部屋に生活の本拠を有さないことを原則として営業しているものであること
の二点を条件として有するものであるとされている。
本施設を、この二条件に照らして判断すると、
1 契約上、利用期間中の室内の清掃等の維持管理は利用者が行うこととされているが、一~二週間程度という一月に満たない短期間のうちに、会社の出張、研修、受験等の特定の目的で不特定多数の利用者が反復して利用するものであること等、施設の管理・経営形態を総体的にみると、利用者交替時の室内の清掃・寝具類の管理等、施設の衛生管理の基本的な部分はなお営業者の責任において確保されていると見るべきものであることから、本施設の衛生上の維持管理責任は、社会通念上、営業者にあるとみられる。
2 また、生活の本拠の有無についても、利用の期間、目的等からみて、本施設には利用者の生活の本拠はないとみられる。
前記より、本施設を、旅館業法の適用対象施設として取り扱うのが相当と考えるが如何。

〔別添2〕
(昭和六三年一月二九日 衛指第二三号)
(東京都衛生局環境衛生部長あて厚生省生活衛生局指導課長回答)
昭和六十二年十二月二十五日付け六二衛環環第七二七号をもつて照会のあつた件について、左記のとおり回答する。

近年、いわゆるウィークリーマンションをはじめとして、新しい形態の旅館業類似営業がみられるが、これらが旅館業法にいう「人を宿泊させる営業」に該当するか否かは、公衆衛生その他旅館業法の目的に照らし、総合的に判断すべきものであることはいうまでもない。照会の施設については、貴見の通り、旅館業法の適用対象施設として取り扱つてさしつかえない。

https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta0406&dataType=1&pageNo=1

昭和六三年一月二九日 とこの通知の反対解釈により1月未満の賃貸借が旅館業の許可が必要と解釈される(大田区特区民泊説明会資料など参照)



宿泊関連3法と借地借家法との相関図

コメント