2016.6.10に行われた「第12回民泊サービスのあり方に関する検討会」を傍聴しましたので内容についてお伝えします。
基本的には2016.6.2の閣議決定を踏まえて議論されました。
冒頭に、閣議決定は、政府の最高の意思決定であり、あり方検討会はこれに沿って議論する旨が伝えられました。
閣議決定の内容については”2016.6.2 政府が民泊閣議決定!!” を参照ください。
2016.6.2の閣議決定のポイント
①家主居住型民泊の解禁
→「一定の要件(日数制限年間180日以下)」を条件に住居専用地域等でも「登録制」で営業を認める
②家主不在型の解禁
→民泊施設管理者(登録制)に委託することにより営業を認める。営業日数制限については家主居住型と同様
③仲介事業者→登録制
制度的に重要なのは上記3点で、閣議決定されていますから、根本的に覆すことは難しいと考えられます。この中で、あり方検討会は、運用方法を考えていくという位置づけであり、細かい論点について討議されました。
第12回あり方検討会の重要な論点(要旨)
運用上のポイント(論点)について整理すると以下の通りです(検討会と検討会後のブリーフィングを含みます。※あくまで、委員と事務局の意見に対立がないものを列挙、単なる委員の提案や所感は除いています)
●民泊については、旅館業法とは別の制度
・新法制定、これには旅館業法も見直すことを伴う。
・旅館業法はホテル営業と旅館営業を一本化、宿泊拒否制限を削る?
・新法は厚生労働省・国土交通省の共管
●家主居住・不在は「住民票」で確認
・家主居住型については個人が複数の物件を運用することを禁止するため
・委員:家主居住型についても複数物件の運用を制限してほしい→事務局:数よりもきちんと管理者を置くことで対応
●一定の要件としての日数制限は180日以下で適切な日数を設定
・180日と決まっているわけではない→自治体裁量?(条例) 法制化する過程で決めていく。(※報道では、検討会では日数について明記せず先送りするとされています。日数制限してほしくない不動産業会と30日にしてほしい旅館業界との溝は深いのですが…)
・行政の立入調査等については、一部民間を活用することも検討
・180日を超えて営業したい場合は、簡易宿所などの旅館業法上の許可を取るべき
・罰則を強化
●住居専用地域での実施について
・自治体が実施できないようにするという運用もありうる(条例)
参考:特区については、住宅扱いではあるものの、自治体の裁量により大田区のように住居専用地域の営業を禁止する自治体や、大阪府の一部などは必ずしもそうではなく、地域の実情に応じで条例を制定している。
●仲介の定義等
・Airbnbのようなサイトは仲介事業者ということが明らかだが、例えば「フェイスブックページなどで同様のことを行った場合どう考えるのか?」という記者からの質問に対しては、「お金が媒介」するかどうかという回答がありました。つまり、ホストとゲストの媒介に、サイト側が金銭を受領(手数料)すれば仲介ということになり、単にページを作って提供しただけでは仲介にならないと解されます。
などです。
全体を通じての感想としては、
今回の議論は、すでに閣議決定がなされていますから、制度の運用法に近い、いわば各論的な議論が多かったという印象を受けました。
あり方検討会は終局に向け、検討会としての使命を終えようとしているわけですが、依然として不動産と旅館業の溝は深いと感じました。ここにきて不動産業界側は押され気味です。
その他宿泊の定義についても再確認されました。
●宿泊の定義
・宿泊とは寝具を提供・・・つまり、衛生面について宿主側が運営
・生活の本拠
・法定されている下宿営業(長期滞在であるが、食事や衛生面については宿主側が運営しているので、旅館業の一形態となっている)が1か月以上であり、反対解釈により1か月未満は旅館業法上の営業と解される。
・逆にウィークリーマンションが旅館業ではなく、賃貸借であれば、宅建業者が媒介するのか?
●新法の所管は厚労省と国交省
※次回で検討会は最後となる見込み、その後法案提出に向け、所管官庁で整理→与党→国会提出という動きになる見込みですね。
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