民泊や旅館業に係る経費のうち、人を雇用するなどししてスタッフを配置すると、当然ながら人件費がかかってきます。直接雇用の人件費の替わりに民泊代行業者に委託すると、一般的には委託料に人件費などの経費は込みということになりますが、自身でスタッフ・支配人・コンシェルジュ等を雇用(業務委託、外注なども含む)手配する場合は人件費が必要になります。
緊急時対応(自社スタッフや委託業者、セコム・ALSOKなどの警備会社など)
2019年の住宅宿泊事業法の施行により、ICT機器( Information(情報)and Communications(通信)Technology(技術) )を利用して、無人で運営することが可能となりました。具体的には、タブレツト端末などのチェックイン用の端末などを用いて、遠隔でのチェックインが可能となりました。同時に旅館業法も緩和され、フロントに代替する機能として、ICTを活用し、チェックインを行うことを可能としている自治体も増加しています。
ICTチェックイン運営会社一例
- matsuri technologies株式会社
- 株式会社チャプターエイト
- xxx株式会社
- メトロエンジン株式会社
- 株式会社エアサポ
- 株式会社キーステーション
緊急時対応|駆付け
しかしながら、緊急時(事件、事故など)には、住宅宿泊事業は原則30分(遅くとも60分)以内の駆付け対応(友人の緊急対応)が、旅館業では、より短い時間で現場に到着する必要があり、10.分以内の駆付け対応和要件としている自治体が多くあります。
したがって、無人の運営であっても、こうした「緊急駆付け」に対応するための予算が必要となります。
民泊代行業者(住宅宿泊事業者)に体躯する場合は、●●円/回などの場合や、対応時間当たり○○円などの時間単価制の場合など様々です。なお、セコムやAlsokのように警備会社に委託することも条件的に可能な自治体もありますが、こちらについても、当然ながら料金が発生します。
セコムの場合は「セコム・ホームシェアサポートサービス」 を提供、Alsok( 綜合警備保障株式会社 )にも同様のサービスがあります(なお、東京都内の自治体については、警備会社のサービスのみでは不十分と判断されるケースが多く、別途、駆付け要員が必要な場合が多いのが現実です。)。
いずれも、人材を直接雇用する場合よりも割安です。
支配人、フロント人件費
人件費については、直接雇用に近い形態として、請負、派遣、直接雇用が考えられます。
●請負契約の場合:時給×時間×日数、又は1回あたり●●円、月額●●円など、特に労働法上の規制はありません。
旅館業については、法改正され規制緩和された現在でも常駐が必要な自治体もあり(東京都では、台東区、荒川区、中央区など)、また、常駐しない場合であっても、緊急時に10分以内に駆付けが義務付けられている自治体も多くあり、直接雇用するほどでもないですが、特に夜間など、必須の経費となっています。
月額1~3万、都度対応数千円/回などの決め方が多いのではないでしょうか。なお、近傍の業者や住民に委託する場合は、額は少なくとも契約ですので、書面で業務内容を提示し、双方合意し契約書・覚書を作成するのがよいでしょう。
●直接雇用する場合・人材派遣
支配人やコンシェルジュを担当するスタッフ、駆付けの要員を雇用することとする場合、雇用契約を締結する場合、少なくとも最低賃金で雇用する必要があり(労働基準法、労働契約法)
東京都の場合、
最低賃金1,013円×8時間×20日=162,080円となり、社会保険料、交通費、複数名雇用等を考えると、30~50万円/月程度は想定する必要があります。なお、大型施設であれば、雇用したほうが割安になる場合もあり、ここは意見が分かれるところです。
以下参考に2019年(令和元年)の都道府県別の最低賃金を掲載
令和元年度地域別最低賃金
出典:厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/
都道府県名 | 最低賃金時間額【円】 |
北海道 | 861 |
青 森 | 790 |
岩 手 | 790 |
宮 城 | 824 |
秋 田 | 790 |
山 形 | 790 |
福 島 | 798 |
茨 城 | 849 |
栃 木 | 853 |
群 馬 | 835 |
埼 玉 | 926 |
千 葉 | 923 |
東 京 | 1,013 |
神奈川 | 1,011 |
新 潟 | 830 |
富 山 | 848 |
石 川 | 832 |
福 井 | 829 |
山 梨 | 837 |
長 野 | 848 |
岐 阜 | 851 |
静 岡 | 885 |
愛 知 | 926 |
三 重 | 873 |
滋 賀 | 866 |
京 都 | 909 |
大 阪 | 964 |
兵 庫 | 899 |
奈 良 | 837 |
和歌山 | 830 |
鳥 取 | 790 |
島 根 | 790 |
岡 山 | 833 |
広 島 | 871 |
山 口 | 829 |
徳 島 | 793 |
香 川 | 818 |
愛 媛 | 790 |
高 知 | 790 |
福 岡 | 841 |
佐 賀 | 790 |
長 崎 | 790 |
熊 本 | 790 |
大 分 | 790 |
宮 崎 | 790 |
鹿児島 | 790 |
沖 縄 | 790 |
全国加重平均額 | 901 |
派遣の場合については、派遣会社に指定の料金を支払うこととなりますが、当然ですが、最低賃金より高くなります。
以上、人件費について解説しましたが、次回は宿泊業に係る「税金等」について解説します。