4月1日大阪府特区民泊いよいよスタート
大阪府で特区認定が4月から始まりますが、これに先立ち、3月23日認定基準は特段の変更はなく成立しました。説明会は3月29日に開催される予定です。
大阪府・大田区特区民泊認定基準比較
さて、大阪府の認定基準ですが、以下のようになります。すべの基準については、リンクページをご覧いただきたいのですが、大田区との比較を表にしてみました。
区域 |
大阪府
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大田区
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施行 |
2016.4.1
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2016.1.29
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最低滞在日数 |
6泊7日
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6泊7日
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面積 |
25㎡以上(壁芯)
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25㎡以上(壁芯)
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設備 |
鍵付きの窓、居室の境は壁造り、照明、冷暖房、キッチン、寝具などを備えること
※トイレ、風呂、フロントなど特別な増設は不要
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鍵付きの窓、居室の境は壁造り、照明、冷暖房、キッチン、寝具などを備えること
※トイレ、風呂、フロントなど特別な増設は不要
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対応外国語 |
ホームページに記載
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申請時、契約書に記載
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ゴミ |
事業系
滞在者が排出可 |
事業系
原則として家主が排出 |
滞在者名簿 |
滞在期間、氏名、住所、連絡先、職業、国籍、旅券番号
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滞在期間、氏名、住所、連絡先、職業、国籍、旅券番号
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本人確認の方法 |
旅券(パスポート)
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外国人:旅券(パスポート)
日本人・日本在住の外国人:顔写真付きの身分証明書
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近隣住民への周知 |
事業者の氏名
施設名、所在地 苦情処理窓口 廃棄物の処理 火災などの緊急時の対応法 |
事業者の氏名
施設名、所在地 苦情処理窓口 廃棄物の処理 火災などの緊急時の対応法 |
施設の使用方法や緊急時の対応 |
(7) 滞在者に対し、ア~オに掲げる施設使用の際の注意事項を、使用開始時に説明するための体制を整えているとともに…利用案内書等に当該注意事項を記載すること。
ア 施設に備え付けられた設備の使用方法
イ 滞在者が居室のごみを排出する場合には、廃棄物集積所の場所、廃棄物集積所に排出することができる日時などの処理方法
ウ 騒音を発生させない等近隣住民の生活環境の保全への配慮
エ 火災等の緊急事態が発生した場合の通報先(消防署、警察署、医療機関及び認定事業者等の電話番号)及び初期対応の方法(防火、防災設備の使用方法等)
オ 滞在者が、消防署、警察署、認定事業者等に情報提供を求める際の連絡方法
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⑦施設の滞在者に対し、使用開始時に、施設使用の際の以下の注意事項を
外国語を用い説明できる体制
(ア)施設に備え付けられた設備の使用方法
(イ)廃棄物の処理方法
(ウ)騒音等により周囲に迷惑をかけないこと。
(エ)火災等の緊急事態が発生した場合の通報先及び初期対応の方法(防火、防災設備の使用方法を含む。)
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細かい点や文言は違いますが、面積や宿泊日数などは、ほぼ同じと考えていいと思います。
特徴的なのは、ゴミの出し方と、対応外国語ですが、民泊を運営するからには常識的な範疇ですね。大阪の方が大田区よりも後発なので、少し、基準が拡充されているように見えます。
特区民泊の活用は進むか?
特区民泊は、1月に東京都大田区で大々的に発表され、説明会には多くの報道陣が押し寄せましたが(そのときのVTRです)、申請については、現在のところ4件となっています。私も申請実務を代行する者として、申請は思ったほど多くないという印象を受けます。
今般、大阪で特区認定がスタートしますが、同日から旅館業法の規制緩和(簡易宿所の面積要件の緩和とフロント機能の規制緩和)が始まりますので、大阪での申請者はそう多くはないのではと思います。
特区民泊の利点
ただし、旅館業法上の館内宿所の許可については、玄関帳場以外にも、越えなければならないハードルはそれなりにあり、例えば、設備面ではトイレの個数などは要件が自治体条例やガイドラインで付加されていることが多く、設備の面で費用がかかるケースが大半だと思われます。例えば、トイレは従業員と宿泊者を分けて、しかも男女別とかの要件が付加されている場合、2~3個トイレを増設するということになると、大変な費用がかかります。水回りの工事は高額です(※ちなみに私の生家は数十年前まで旅館業を営んでいましたが、トイレだらけです)。
確かに、特区民泊は、6泊7日以上であるとか、外国語対応やそれに合わせた英文や中国語文の賃貸借契約書の作成であるとか、それなりに手続きが面倒ではあります。
しかし、多くがソフト面での運用の要件であり、実際に工事費用がかかるのは自動火災報知設備くらいで、それにしたって、特定小規模施設用の簡易型でよいわけですから、資金面を考えると特区民泊の方がリーズナブルではないかと思いますので、もっと申請件数が伸びてもいいのではと思います。
そして、建築基準法上の規制(用途変更)もありませんから、建築確認しなおしによる掛かりまし費用も一切発生しないわけです。これほど簡単に旅館業類似営業を始められるのは、ものすごく大盤振る舞いというか大サービスなので、この点に早く気付いた人は、かなり先見の明があると思いますね。
短期の宿泊者を狙う事業者もそうですが、特にマンスリー、ウィークリーマンションに参入しようというような事業者にとっては、特区民泊の制度はとてもお勧めですね。何よりも区や府のお墨付きを貰えるわけですから、宿泊者の安心感と同時に宣伝効果も高いのではないでしょうか。
※おそらく、多くの方が様子見なのは、制度の本質を詳しく知らないことが原因だと思います。また、実際に特区も簡易宿所の許可にも取り組んだことがない人たちの憶測の論評によって判断を迷ってる方が多いのも事実だと思います。ぜひとも、民泊事業に参入しようとする方は、正しい情報を見極めて、理解を深めてほしいと思います。