あり方検討会や規制改革会議、新法の新聞報道から見る今後の民泊サービスの方向性
昨日の記事同様、民泊については、今後3つの選択肢が出てきました、大まかな流れとしては、特区民泊、簡易宿所(旅館業法の規制緩和)、ホームステイ型民泊、そして業者登録制度です。
民泊に関するあり方に関する検討会の中間整理も発表されましたので、大まかに今後の動きを含めて表にまとめました。
民泊サービスの分類(今後の想定)
民泊サービスの分類(今後の想定)
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分類
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簡易宿所(旅館、ホテル)
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ホームステイ型
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特区民泊
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現行(簡易宿所の定義)
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規制緩和後
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定義
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宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、下宿営業以外のもの」(旅館業法2条4項)
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家主居宅で自宅の一部を貸し出す
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特区内の認定施設を賃貸借契約及びこれに付随する契約に基づき使用させる
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管轄法令
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旅館業法
と自治体条例等
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旅館業法対象外
→借地借家法?
民法の賃貸借?
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国家戦略特別区域法
と自治体条例等
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許可制
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届出制
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許可制
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面積要件
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延べ床面積33㎡以上
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宿泊者一人あたり3.3㎡以上
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-
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壁芯25㎡以上(大田区)
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●トイレ、洗面等の人数当たりの個数の要件あり
●消防法令の適合(自動火災報知設備)
●建築基準法適合(用途地域、建築確認(用途変更)等)
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→フロント以外は緩和されるかどうかは、管轄する自治体
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?
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●トイレや洗面、風呂、調理器具、寝具などの設置要件はあるが、旅館業法ほど厳しくはなく、家庭用を転用できるレベル
●消防法令の適合(自動火災報知設備)
●建築基準法適合(用途地域)
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宿泊日数
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なし
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なし
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なし?
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6泊7日以上(大田区)
※やむを得ずキャンセルした場合、期間中に重複した別契約不可
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玄関帳場
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法律上のフロント設置要件はないが、要件ではないが通知により求められているため、自治体条例で設置を要件としているところが大多数
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2015.3.17現在玄関帳場の要件緩和は決まっていないが、「あり方検討会」中間整理では、設置を要しないこととすべきと言及
第5回検討会資料においても通知改正案が提示されているため、4/1の政令改正に伴い緩和される公算は大きい。
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-
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不要
対面で確認が取れればよい
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今後の見通し(実施時期)
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2016.4.1から旅館業法施行令が改正され、面積要件が緩和された。
併せて、玄関帳場(フロント)設置要件も緩和
これに伴い自治体の細かい運用も変更される可能性もあり(?)今後は順次条例を改正し、自治体が規制緩和に対応していくと思われるが、台東区のようにフロント設置義務を強化するなど、国の方針に逆行して規制を強化する自治体もあるため、一概に規制緩和されるとは言い難い。
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2016年6月にあり方検討会、規制改革会議が方向性を決める模様
これを受けて、国会で法改正や新法制定が検討される見込み。早ければ2017~か?
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東京都大田区に続き、2016.4.1から大阪で条例が施行し、特区認定が始まるが、特区法自体の運用が法改正も含めて今後の状況となるかは不透明、
常識的には、旅館業法や新法(?)とのバランスを取るべきてでは?
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家主不在型民泊サービスの今後
※家主不在型の民泊が、今後「簡易宿所」となるのか単なる「借家又は賃貸借」となるのかは不明。いづれにしても、家主に代わり、管理事業者(代行業者)が規制の対象となる可能性大
管理事業者(代行業者)の登録制
2015.3.16「あり方検討会」の中間整理においては、「管理事業者を介在させ、家主に代わって一定の責務を担わせることにより緩和の対象とできないか」と言及されており、既存のシステム(賃貸住宅管理業者登録制度(国交省告示))や新法を制定して登録制度が制定される可能性が高く、
その場合、大田区特区民泊で規定されているような、ゴミ出し、緊急対応、本人確認義務、苦情処理などの義務を管理事業者が負うこととなる可能性が高いと思料されます。
今後は業界のパワーバランスで方向性が決定か?
討論会を振り返って、私が少し考えさせられたのは、本件に関するAirbnbの積極性のなさです。
単なる仲介サイトとして、あまり関与しないというスタンスはわかりますが、積極的に関与しようとする百戦錬磨と既得権を守ろうとする旅館業界とは対照的だと感じます。
この問題は日本マーケット独自の問題ですが、民泊をテーマにした業界のパワーゲームが繰り広げられているように見えます。
つまり、既得権を守ろうとするホテル・旅館業と不動産業者の駆け引きに見えてなりません。もはやそこには、本当の意味での「民泊」はなく、空き部屋対策です。空き部屋を何とかしようというのはわかりますが、あまり、企業的なイメージが前面に出てしまっては、もはや民泊ではなく、単なる「小さなホテル」でしかないと思います。まあ、遊休資産の活用としては、私は素晴らしいと思いますが。
私は、民泊がある程度合法化され、推進していけばよいと思いますが、あくまで主役は「宿泊客、利用者」であるということを忘れないでほしいと思います。
マンションを転用したビジネスホテル的な民泊と並行して、独自の価値を提供できるような、個人経営の民泊についても合法化(積極的な許可取得)が進めばと期待しています。
※あり方検討会
※規制改革会議議事次第