住宅ローンは、自己居住する目的の住宅購入用融資です。 物件や金融機関によって借入条件が異なりますが、概ね「自己で居住するため」の住宅購入に対して融資が行われます。1階が店舗やアパート、2階が住居とのような店舗付き住宅で融資を売れる場合は、賃貸併用住宅向けローンなどの例外もありますが、通常は、面積割合など、一定の制限が設けられることが通例です。
今回は民泊や旅館業をはじめとする事業向けの物件と住宅ローンの関係を解説いたします。
住宅ローンの要件
住宅ローンは、銀行や信金、モーゲージバンク( 住宅ローンを専門に取り扱う金融機関。旧住専と業務は類似 )などの金融機関で実施されていますが、住宅ローンの資金使途は、主に以下のように限定されています。
- 自分が住むための住宅の購入または、建築資金
- 自分が住むための住宅の増改築の資金
- 住宅ローンの借換え
- 住宅購入のための諸費用(諸費用を認めない金融機関もあのますので注意)
このように、住宅ローンは、「自己が住むための住宅」という条件があります。転勤などのやむを得ない事情を除き、自己が居住しない場合、融資は不可です。
フラット35とは?
フラット35とは、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する最長35年、全期間固定金利の住宅ローンで、政策的に金利が優遇されています。
具体的には、民間金融機関(都市銀行など)が窓口になり、融資の審査を行い、 住宅金融支援機構が債務保証することにより、融資が成立します。
民間銀行の融資の場合、保証を行うのは銀行の関連会社の保証会社か保証協会となり、保証会社等に保証料という名目で金銭を支払い補償を受けることを条件に銀行が融資を実行します。したがって、物件の抵当権は保証会社名義となります。民間の住宅ローンの場合、銀行のみならず、保証会社が様々な条件を付す場合があり、融資は意外と条件が厳しい場合もあります。
さて、フラット35の場合は、政府機関である住宅金融支援機構が保証しますので、その分保証料、金利を抑えることができます。
それでは、民泊や旅館業への使用はどうなのでしょうか?
住宅ローンで旅館業は可能?
これは、融資条件により異なりますが、基本的には旅館業への転用はできません。ほぼ不可能と認識して下さい。旅館業は建物の用途が「旅館・ホテル=宿泊施設」であり、完全に事業用の目的になります。したがって、住宅に対する融資である住宅ローンの目的と、著しく異なるため、旅館業を行うことが明白な場合、ほとんどの場合、融資は不可です。
なお、同様の理由で、アパートなどの賃貸住宅を経営することを目的に安価な住宅ローンを利用することについても、不可と考えて差し支えないでしょう。
賃貸併用住宅などの融資もあのますが、これも最近は厳しくなっていますので、賃貸住宅を前提に融資を受ける場合、賃貸併用であっても、事前に確認が必要で、黙って賃貸住宅に転用した場合、最悪の場合、融資目的違反による「期限の利益の喪失」により、一括弁済を求められたり、応じない場合は、強制的に競売にかけられたりする可能性があり、特にフラット35などの場合は、実際にそうした事例もあるので、ご注意ください。
※フラット35を悪用した事例
- 居住用と偽って投資用物件の借り入れを行った事例
- 外国人が在留カードなどを偽造し、永住者と偽って融資を受けた事例
アパートローンと住宅ローンの違い
アパートローン(アパート・マンションローン、アパマンローンなどと言います。)とは、住宅ローンと異なり、投資用の融資のことです。一般的に住宅ローンの金利は、長期融資の中で最も低い金利の場合が多いのですが、アパートローンは投資用のため、金利はやや高く設定されています。
例えば、大手都市銀行のみずほ銀行の場合、融資条件は、
- 満20歳以上
- 安定した収入のある方で、前年度税込年収200万円以上
融資の使途、
- (1)賃貸用住宅の土地・建物の取得資金、増改築・改装資金、底地買取資金および外構工事資金、火災保険料、担保関連費用、設計料、解体工事費用、近隣対策費、印紙税、仲介手数料、付帯工事費用、水道加入金
- (2)現在他金融機関からのお借入中のアパートローンの借り換え資金。ただし当行でお借り入れ中のアパートローンの借り換えはできません。
となっています。
なお、借入金額の限度は5億円以内で、借入期間は、最長35年以内となっていますが、建物の耐用年数内とされているため、例えば、耐用年数が47年の場合、築20年の物件であれば、融資期間(返済期間)は27年が最長となります。
さて、アパートローンを旅館業に利用できるか、アパートローンで借りた物件を旅館業に変更できるかという問題ですが、何れの場合も不可又は相当困難であると考えてください。
理由は、上記の住宅ローン度同様で、宿泊施設と住宅は、その用途が異なるからです。なお、住宅宿泊時事業の場合は、完全に宿泊サービスのみという訳ではないため、金融機関によっては転用可能という場合もありますが、これは各金融機関の融資条件によりまうので、借入元の金融機関に確認ください。
※不動産業者が可能であることを示唆する場合もありますが、不動産業者は第3者であり、融資の当事者ではありませんので、必ず融資元の金融機関に確認してください。
旅館業は事業用ローンで
旅館業で融資を売れる場合は、飲食店などの融資同様、事業用融資が一般的です。特に政策金融公庫(旧国金(こっきん)ですね。)では、旅館・ホテルに特化したような融資項目(参考:生活衛生貸付け)もありますので、購入、改築などの際には、一度相談してみるべきでしょう。
まとめ
さて、今回は、旅館業での融資について解説しましたが、結論としては、住宅ローンやアパートローンでは、非常に難しいということをご理解いだだければと思います。
- ×住宅ローン
- ×(△)アパートローン
- ○事業用融資