特別用途地区
第9回のあり方検討会の資料です。特別用途地区の説明資料なのですが、唐突にこのような資料を提示されても、相当、都市計画法や建築基準法に精通した人でないと、真意はわからなかったのではないでしょうか。
ここで少し解説しますが、都市計画法には線引きされて市街化区域となった場合は、用途地域を設けることができることとなっています。
用途地域とは、商業地域とか第1種低層住居専用地域とかの区分なのですが、これはあくまで原則です。用途地域については「都市計画区域内用途地域についての用語解説」を参照ください。
さて、
特別用途地区とは、用途地域内に、自治体条例で定めることによって(建築基準法49条)、特別に用途制限を緩和したり強化したりすることができる地域です。
以前は、法定された11種類のみでしたが、平成10年の法改正により、自治体に特別用途地域の制定権限が委譲されたわけです。なお、あくまで、自治体の任意なので、特に指定しない自治体が大半だと思います。
以下は法改正以前の代表的に特別用途地域
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あり方検討会資料は、
用途制限緩和の例と用途制限強化の例を示したもので、おそらく国は地域の実情に合わせて、この制度を活用するように促しているのではないでしょうか?
上記の資料のA町の例ですが、第2種低層住居専用地域は、通常はホテル・旅館を建設することはできません。簡易宿所も同様です。
都市計画法は、無秩序に建物が建設されることを抑制するための法律といえるので、例示のように別荘地内に、別荘ではなく、コンドミニアムや簡易宿所が建設されたとしても、さほど影響があるとは考えられませんが、
通常、第2種低層住居専用地域内に正攻法でホテルや旅館を建設するのであれば、建築基準法第48条第1項から第12項の各項ただし書に基づき、特別に、制限されている用途の建物の建設を行なうことを許可してもらう必要があります。ただしこれには、公聴会を開き建築審査会の同意などが必要でかなり大掛かりな開発許可の申請になります。
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よく、住居専用地域である別荘地内にコンビニを誘致したりするのがこの規定なのですが、やってできないことはないとは思いますが、なかなか難しいのが現状だと思います。
検討会資料の事例は、建築基準法法48条の個別の開発許可ではなく、法49条により、用途地域内の特定の地区を一括して緩和する方法を示しています。
これが実現すれば、住居専用地域内においても、民泊を解禁することが可能になるかもしれません。特に、商業地域などに隣接する住居専用地域などは、自治体が割り切れば裁量で規制を緩和することが可能となりますので、あり方検討会(国)は、一つの方法として、自治体に提示しているのだと考えられます。
もちろん用途制限を強化することもできますので、自治体が簡易宿所の建設を絶対に禁止ということであれば、規制を強化することができますので、自治体にとってこの規定は使いようだと思います。
※ 特別用途地区の参考動画です