10月4日、国家戦略特区諮問会議(特区会議議長・安倍総理)を開き、農業における外国人労働者の受け入れなど、新たな規制緩和策が議論されました。
農業への外国人労働者の受け入れでは、対象を一定の農業従事経験がある専門性の高い人材とし、待遇面で日本人と差が出ないように配慮する方向…
農業に関するビザ(在留許可)とは
外国人労働者の増加
○在留資格別では、「専門的・技術的分野」の労働者が167,301人で、前年同期比20,005人、13.6%の増加。また、永住者や永住者を配偶者に持つ人など「身分に基づく在留資格」は367,211人で、前年同期比28,521人、8.4%の増加
内訳をみると、在留資格「研究」、「技術」等、経済社会の活性化や国際化を担う「専門的・技術的分野」の労働者が約18万人となっています。
日系人や日本人の配偶者等は身分に基づき在留が認められていますが、こうした在留資格は、活動内容に制限はなく、日本人や帰化した日本国籍取得者同様、就労に制限がありません(約24万人)。このほか、資格外活動の許可を得て行う学生などのアルバイト(約10万人)、技能移転を通じた開発途上国への国際協力を目的とする技能実習生(約6万人)などがいます。
農業分野における就労状況
日本の農業分野の就労状況(農業人口200万人割れ)
現在の農業の従事者は、農林水産省の統計資料から約200万人弱ということがわかります。そして、ここ5年で飛躍的に農業人口が減っているのがわかります。これは、高齢化による減少と、東日本大震災を始めとする震災の影響が顕著です。
30年前、1985年には、農業就業人口は542万人でした。つまり、この30年間で6割減ということになります。年齢別の内訳でも65歳以上が割、しかし、39歳以下は7%もいません。5年前と比べると70-74歳と75-79歳が著しく減少しています。つまり、これまでは皮肉なことに高齢者が農業を支えていた「主力」だったということがわかります。
2016年の概算値は恐ろしい減少となっており、200万人を下回る見込みとなっています。5年前より2割以上減少ということになります。平均年齢も67歳ですから、新たに農業を始める若者を増やすことが不可欠です。しかし、個人事業としての農業では規模的に見ても労働生産性が低く、以下に農協が組織化されようとも農村のスケールメリットを生かすことができず、労働者の賃金も伸び悩んでいます。
そこで、注目それるのが、農業法人を増やすなどのいわゆる法人化対策と外国人労働者の確保です。
農業における外国人の就労状況
特区会議で農業への外国人労働力の活用を示唆
安倍首相は「次期国会(2017通常国会)への法案提出を視野に、実現に向けた議論を加速していく」と述べ、特区法改正を踏まえ、農業での外国人受け入れの検討を行うよう指示しました。
農業への外国人労働者の受けれは、「一定の農業従事経験がある専門性の高い人材」とし、待遇を日本人同様にする方向で、これは、完全に就労ビザと同じ条件であるといえます。
つまり、即戦力となる外国人の農業者を活用することで、生産性の向上を図る意図があるように感じます。日本は、農地はたくさんあるものの、労働者がいないため、耕作放棄されている田畑や畜産関係施設がたくさんあります。こうした農地をよみがえらせるためには、やはり労働力としての外国人と法人化などの手法が不可欠なのでしょう。
農業人口の減少は、日本の自給率にも影響しますから、国として、真っ先に考えなければならない重要課題です。しかし、今まで、目先の景気回復などを重要視し、1次産業の衰退から目を背けていましたが、ようやく政府は重い腰を上げようとしています。今後の動きが注目です。