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民泊新法 2016秋臨時国会法案提出見送りの真相 ~徹底解説~

投稿日:2016年10月2日 更新日:

9月23日に決定された、民泊新法の国会提出見送りについて、政府の考え方、自治体の動向を読み解き、詳しく解説しますす。

新法見送りの反響は大きく、たくさんの解説・評論があふれていますが、的外れなものも多く、恣意的な憶測が飛び交っていますが、国の政策は高度に政治的な要素が関係していますので、なかなか解釈が難しいところです。今回は、民間ではなく、国、行政の視点から解説していきたいと思います。

民泊新法臨時国会提出を見送り 調整難航!

国土交通省は秋の臨時国会に、民泊新法法案の提出を見送ったことを明らかにしました(2016.9.23国土交通省)。
民泊新法のポイントは、
①家主居住型民泊を届出制で解禁
②家主不在型(代行業者を使った運営)を同じく届出制で解禁
③仲介事業者の登録制
①と②には、年間最大営業日数を一物件あたり年間180日以下とする日数制限を要件とする
というものですが、
これが各業界との調整がつかず、時間切れとなり、次回、つまり1月の通常国会で提出する方向となりました。今、臨時国会には間に合わず法案提出が遅れたことから、民泊解禁は早くとも来年以降となることは確実となりました。
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なぜ民泊法案提出が遅れるのか?

一つには、各業界との調整が難航しているということがいえます。通常、国が新制度を策定するときは、各業界団体、自治体などと調整するのが一般的です。

現在のところ、できる限り営業日数を短くしたいホテル旅館業の業界の反発もあり、難航しているものと思われます。

これには、もちろん既得権を死守したいという理由が大きいのかもしれませんが、許可権限を持つ各自治体も、例えば、京都市のように公に新法の管轄権を自治体に下(おろ)すよう要求していることから、地方自治体の反発も軽視できない状況となっています。

民泊の利益代表者不在

ちなみに民泊推進側の利益代表は現在のところ不動産業界であり、残念ながら、新興産業である民泊事業者自体の利益代表者は不在です。

通常、こうした新制度の策定時においては、それなりの力のある企業が中心となり、勢力を結集し、意見をまとめて、旧勢力に対抗することが、マストなのですが、今回の民泊新法では、キーマンとなる新興勢力は見当たりません。Airbnb社であれば民泊事業者の力を結集し、業界の顔になれたのかもしれせんが、「当事者になり民泊の違法性を追求されたら不利益をこうむる」という自社の企業利益を優先しているかのように、民泊の合法化、新法についてはおよび腰です。

代わりを一部の不動産業界がこの役割をになっているわけですが、業界すべての企業が本腰を入れているわけではなく、不動産が売れれば、又は仲介できれば、少し利益が上がる程度でにしか考えていないように思えます。

死活問題であるホテル旅館業界の結束力は固く、なかなか切り崩すのは大変でしょう。

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行政側の理由

おそらくは、法案を策定している国土交通、厚労省側の理由としては、地方自治体の反発が大きいのかもしれません。実際問題、旅館業法の監督権限がある自治体側は、違法民泊の苦情や対応に追われています。したがって新法の管轄については国が一元化するのではなく、自治体が直接管轄したいはずです。

京都市のように正面から管轄権限を要求している自治体もありますが特に東京都特別区などでは、根強い反発が予想されます。

国の立場からすると、都道府県レベルのみであれば、住民からの距離が遠いので、何か全国一律の新制度を導入する場合業界団体の声に耳を傾ければよいだけなのですが、特別区や政令市などのような、都道府県並みの強大な権限を持ち、しかも地域に密着した自治体は、住民の声が直接自治体に届く分、対応が大変です。

民泊事業者も住民ならば、反対者も住民です。こうした中で、経済性と平穏な暮らしのどちらが優先されるか考えると、前者を優先するのはなかなか難しいのではないでしょうか。
 総括
以上を総合すると、国は、利益代表者不在のため、有象無象の個別の勢力の意見をすべて聞かざるを得ないということになります。例えば、すべての自治体が民泊に反対というわけではないと思いますが、やはり反対の狼煙を上げている自治体の声をは強くきこえますから、どうしてもそちらの意見を吸い上げてしまう傾向があります。これはホテル旅館業界も同じで、このままでは規制緩和どころか逆に、新法を作ったものの、骨抜きにされて、実質的には規制強化ということになる可能性も否定できません。
民泊の規制緩和が進まないのは、推進派の一部不動産業界や無許可民泊を行っている事業者自身の声が小さいことが原因ではないでしょうか?

代替案として特区法の規制緩和

こうした状況下で、特区法の最低宿泊日数制限の緩和が、法案提出見送りに先立ち発表されました。

詳しくはこちら☞「国家戦略特区諮問会議 特区民泊2泊3日 正式決定!!

特区は、条例が施行されている自治体は限定されていますが、ただ、条例を制定すれば実施することは可能です。したがって、自治体の裁量が発揮できますから、国は、規制緩和の下地を作り、判断は自治体に任せるといった考え方に基づき緩和する方向なのでしょう。10月31日の大阪市での特区民泊スタートに照準を合わせている可能性も

これまで、国は以下の緩和を緩和しましたが、ただ、直接国の緩和が影響したのは簡易宿所の面積要件のみで、その他は自治体次第といったところですね。

※特区法について

「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業の認定」を受けると旅館業法が適用除外となります。適用場外ということは、旅館業法を適用しないという意味ですから、旅館業法上は許可基準を満たしていない場合も、独自に制定された条例の要件を満たせば、旅館業法同様の営業ができるということになります。ちなみに、国が民泊特区に指定している地域は、現在、

東京都、神奈川県、千葉県(成田市、千葉市)、大阪府、兵庫県、京都府、福岡県(北九州市、福岡市) ですが、

条例が制定されているのは、大田区、大阪府、大阪市のみです。※北九州市は前向きな姿勢を示しています。

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(※特区はこれだけ指定されていますが、民泊に関しては大田区、大阪府、大阪市のみです。)

※これまでの国がおこなった規制緩和

①簡易宿所フロント規制緩和、面積要件の緩和
②ホテル建設に係る容積率の緩和

厚生労働省、10月に初の「民泊全国調査」開始 取締・行政指導の下地

厚労省、全国の民泊15000件を一斉調査を行うことを表明しました。

民泊新法の制定は先送りされましたから、実態を調査して調査結果を新法に反映させる意図があるのでしょうが、全国142自治体に対して一斉に調査をかけるわけですから、調査結果は各自治体が把握することになります。無許可営業の場所、事業者について行政が調査の過程でリスト化するということは、いつでも取締や指導を行える下地作りでもあるのです。

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合法民泊のすすめ

このような環境下で、現在の無許可民泊が営業可能可能な期間は、あとわずかになってきました。
摘発リスクもあります。
したがって、簡易宿所や特区民泊が可能な物件であれば、迷うことなく合法化を考えるのが合理的だといえるでしょう。
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