民泊とコストの関係(第3回)設備投資と許可申請

民泊自供をはじめるうえのコストで1番コストを要するのは、物件の取得費を除いて、は物件の改装費用でしょう。

巷では「民泊解禁」とか、新規参入しやすくなったなどともてはやされていますが、民泊、つまり「簡易宿所」を開設するにはそれなりのコストと覚悟が必要です。

なお、ワンルームで解禁などどいう、法令改正の表面だけをとらえた報道や、実務を知らないにわか評論家のような方たちの言動には十分注意してください。

特に投資目的で始められる方は、物件選びの段階から慎重に検討し、最初から不動産屋(宅建業者)にその旨を伝えてから探してもらうのが望ましいと思います。不動産業者もあまり経験がない場合が多いと思いますので、くれぐれも、大家が許可しているだけの物件を、民泊の許可が取れるという意味で誤認しないでほしいと思います。

設備投資

◆水回り

民泊施設を始める場合は、簡易宿所として許可を取ろう取る場合、居抜きでない限り、最低限、

●トイレ
●風呂
●洗面台

等の設備面の個数を勘案する必要があります。通常の住宅などにはトイレは複数ない方が一般的だと思いますが、多くの自治体で簡易宿所の許可基準として、最低限5名につき2個はトイレが必要であると規定されています。

厳しい自治体では、さらに男女別、各階に設置というところもありますので、このあたりのコストは必須といってもいいと思います。

風呂については、本来は男女別であるので、住宅用のもの1個で認められるかは自治体によります。

※便所を客室に敷設しない場合の共同便所の便器の数(定員30名以下の場合)

合計定員 便器数
5人以下 2
6~10人まで 3
11~15人まで 4
16~20人まで 5
21~25人まで 6
26~30人まで 7

同じく洗面の給水栓の数(定員30名以下の場合)

5名につき1個

(追記2019.10.8:旅館業法、衛生管理要領は改正されましたので、現在は自治体が独自に定めています。全体的には緩和傾向。詳しくは対象自治体にご確認ください。)

◆玄関帳場(フロント)

また、フロントについてですが、4月1日以降、国のガイドラインは緩和されたとはいえ、依然として義務化している自治体が多くあり、厳格な自治体では、広さや作りについても指定があり、ホテルに準じて広さ3㎡以上としている自治体などが多いと思います。設置場所も「フロント」なので、入り口付近に設けなければならないでしょう。

こちらについては、コストというよりも、スペースの制限と言った方がよいかもしれません。

◆自動火災報知設備

いわゆる自火報というものですが、特定小規模施設用のもので20~40万円、本格的なものでは、工事費を含めて100万円を超えるのではないでしょうか?(追記2019.10.8:2016年当時の価格です。現在では、東京都の戸建てで、特定小規模用50万円前後、P型2級100万円~が一般的です。その他、誘導灯、非常用照明設備、消火器等のコストがかかります。)

以上、設備について述べてきましたが、このほか客室の改装などを考慮すると、さらにコストを考えておく必要があります。

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参考:

トイレの増設 50万円/1か所 概算
自動火災報知設備 30万円 概算
寝具、ベッドの購入 20万円 概算
としても、これだけで100万円の費用が必要となります。

許可申請費用

許可申請の手数料としては、行政手数料としては、ごくわずかですが、その他、行政書士に委任する場合の報酬や、大規模に転用する場合や図面がない場合の作成費用などが必要となってくる場合があります。特に、大規模に転用する場合、ケースバイケースですが、建築確認を取り直すようなことになるかもしれませんので、建築士に支払う報酬を見込む必要があります。

特区民泊の利用

特区民泊の場合は、住宅を転用可能なので、特段の自動火災報知設備以外は工事の必要は特段ありません。

また、建築基準法上の用途変更についても、現在のところ住宅のままで利用できますから、その分、設備投資は少なくて済むと思います。

申請の報酬については、何とも言えませんが、当事務所の報酬規程等ご覧ください。

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