旅館業の検査については、管轄の保健所が行いますが、自治体により、チェックポイントは様々です。しかし、共通のポイントも多いので、今回は、一般的なチェックポイントをやや細かく解説いたします。
設備面のチェックポイント
最低限、寸法や客室の構造などを図面どおりか確認します。大幅に寸法が異なる場合、補正の対象になる場合もあります。客室有効面積に対する定員がギリギリの場合は、詳しく計測する場合もあります。なお、設備面でのチェックポイントは、主に水回り、寝具等が中心となります。
寝具については、原則として定員分用意が必要です。
換気採光などの設備についてのチェックポイント
換気:自然換気、機械式換気の状況。具体的には、窓や換気扇について確認します。
採光・照明:窓については客室の1/10程度(旧旅館業法 運用。現在は数値上の基準はない場合が多い)が一般的です。厳しい自治体では窓面積を計測する場合があります。また、照度について客室40ルクス以上、通路等10ルクス以上など、各自治体が数値を定めている場合もあり、照度計により計測する場合もあります(通常は目視が多い)。
水回りのチェックポイント
トイレや洗面台の個数、風呂など設備基準が設定されている自治体もありますが、概ねこれらは申請時に図面上で審査されます。
検査当日は、通常、水やお湯が出るかなど衛生面をチェックするケースが多いと思います。稀に、残留塩素濃度などを確認する場合もあります(テナントビルやマンションの一室などの宿の場合)が、自治体によりかなり違いがあります。貯湯槽や湯沸かし装置、循環装置、温泉の場合は、衛星基準がありますので、基準に沿って検査が行われます。
一般的には、水道の場合よりも井戸水や温泉の場合の方が検査が厳しい傾向にあります。
リネン庫、寝具収納などのチェックポイント
旅館業には、押し入れや収納家具などが必要ですが、和室(旧旅館営業)の場合、布団収納するスペース(押入れ)が建物内に必要です。
また、リネン庫には鍵が必要な場合もありますが、このあたりは自治体により運用が異なります。
その他のチェックポイント
宿の名前(表札)や客室番号、室内案内図、宿帳(宿泊者名簿)、従業員名簿などの基準がある自治体もありますので、自治体の基準を確認し、事前に準備しましょう。
人的な要件のチェックポイント
無人で運用する場合は、チェックイン端末や駆けつけ要員の待機場所や氏名などを確認する場合があります。
これらは、書面でまとめて提示するのが一般的ですが、ICT機器(チェックイン端末)も監視カメラなどの動作や映像を確認する自治体が大半です。
フロント(玄関帳場)に人が常駐する場合は、フロントの構造などを細かく無確認する場合があります。特に帳場の寸法などの基準のある自治体は計測する場合もあります。
有人の場合のチェックポイント
玄関帳場=フロントの機能や規格について検査する場合があります。例えば、以下のような規定がある場合、この基準を構造上クリアできているかどうか、物理的に確認します。
無人の場合のチェックポイント
無人の場合、簡易的にキーボックスなどで鍵の受け入れを行う場合や、チェックインカウンターを別の場所に設けて行う場合などもありますが、
一般的には6
- ICT機器(タブーレット端末)でチェックインを行い
- 鍵は電子錠など
- 出入りは監視カメラを設置し監視、
- 緊急対応は駆付け要員が対応する
ようなケースが多いと思います。以下のような規定が示されていることが多いと考えられますが、手順を示した書面や機器の操作説明などを提示し、現場では、実際に端末操作など動作確認が行われることが多いでしょう。
まとめ:概ね、設備が使用できるかどうか、面積が図面通りかなどを現地で確認します。保健所は低物の検査というよりも、実際に宿泊者が来た時に宿度して適切に対応可能か、衛生的に宿泊できるかなどを主眼に検査が行われる場合が多いと思いますが、これは各自治体の裁量というか、審査基準により行われるため、検査当日は万全を期するように、事前の準備を怠らないようにしましょう。
一般的に検査のポイントは「明日からでもすぐに営業できるか」という視点で宿を見られるということです。