民泊にかかる費用7選-1|物件の取得費、賃料

民泊をスタートさせる場合に、まず最初に検討すべきは、不動産の価格です。不動産の何かしらの権利がなければ、旅館業や住宅宿泊事業などの民泊を始めることはできません。今回は物件の取得費用について解説していきます。

※「読むのがめんどう」という方は、動画でご覧ください

物件の取得費、賃料

民泊を始めるには、まずは、不動産物件が必要です。自己所有であればよいのですが、物件を持っていない場合は、物件探しから始める必要があります。不動産物件を利用するためには、所有権、賃借権、転貸権などの権利が必要です。

物件を購入の場合

物件を購入する場合は、不動産の取得費がかかります。

物件により、不倒産価格は様々で、数百万~数億以上とまちまちです。民泊転用でおすすめの中古戸建、事務所ビル等です。

不動産を購入する場合の注意点

  1. 住宅ローンやアパートローン(投資用ローン)で購入する場合、事業用の旅館業などに転用する場合の条件を確認
  2. 事業用融資で購入する場合は、事業計画について、金融機関に詳細に説明する必要があり、自身で事業計画を適切に作成できるか。
  3. 固定資産税の優遇措置を受けられなくなる。

等注意してください。

民泊に向いている物件
❶戸建て住宅

戸建て住宅の場合は、2階建てまでがコストが少なくて済みます。その理由としては、

(1)3階建て以上の建物を建築基準法上の特殊建築物である旅館業に転用する場合、建築基準法上の規制がかかるため、耐火要件などの基準に適合させる必要があり、具体的には、共用階段や、廊下などの構造を耐火建築物並にグレードアップが必要になります。

2階建てまでであれば、規制はあまりかからないのですが、3階建てになると、面積が小さくても建築基準法上の規制がかかります。

(2)消防設備のコストが2階建てまでと3階建て以上で異なる

詳しくは、別の回で説明しますが、2階建てまでであれば、安価な無線式の自動火災報知設備が使用できます。

❷事務所ビル、テナントビル

こうした事業用の賃貸物件は旅館業に転用するのに向いています。大きなビルや、飲食店やカラオケボックスなどの用途向けのビルは、自動火災報知設備等の必要な消防設備が既に設置している場合がありますので、この点はコストが抑えられます。

ただし、飲食店→旅館業転用などは、内装を作り直す必要があるため、少なくとも数百万円程度は内装費が必要となります。

また、テナントビルは、敷金や保証金が高いので、アパートであれば通常は1カ月ですが、6カ月程度は見込んでおきましょう。

❸アパートやマンション

アパートやマンション自体が「共同住宅」という特殊建築物で、扉や部屋と部屋との境界の壁の耐火性能が高く、旅館業に転用しやすくなっています。

ただし、消防設備の基準までは満たしていない場合が多く、注意が必要です。

以上の理由で、3階建ての時床耐火構造の木造住宅は、これまで、特殊建築物である旅館やその他飲食店やコンビニなどへの転用ができませんでしたが、2018年6月の建築基準法の改正により、一定の防火区画工事などを条件に転用可能になりました。

中古の3階建て戸建て住宅を購入する場合は、こうした防火区画工事や消防設備設置工事を視野に入れて、購入コストを検討する必要があります。

東京都内の100㎡前後の住宅で、300~600万円くらいのコストを 見ておいてください。詳しくは次回解説します。

賃貸物件の場合

賃貸の場合は、「民泊に使用の有無」をまず最初に確認してください。つまりオーナーが許諾しているかどうかということです。

オーナーが使用を許諾している物件は、多くはありません。専門のサイトもありますが、大体が相場の1.5~2倍程度で流通していますので、賃料と収益を比較し、検討して下さい。逆に、通常の賃貸度同様の価格で流通していればラッキーですが、何か理由がある場合が多いので、注意してください。

建物に関する工事などの条件については、購入の場合と同様です。

賃貸の場合は、購入と異なり、オーナーとの間でトラブルになることが多く、賃貸借契約書とは別に使用許諾など条件を細かく決めておいた方がよいでしょう。

自己所有物件

自己所有物件の場合の取得費用は0ですが、旅館業の許可を取ると、固定資産税が変わりますので注意。また、賃料収入と旅館業や住宅宿泊事業の 収益を比較し、検討して下さい。

不動産仲介手数料

売買にかかる仲介手数料

物件売買の仲介手数料の上限は、物件価格×3パーセント+6万円+税と覚えてください。

速算法
(売買価格×3%+6万)×消費税

物件価格が少額の場合の計算

依頼者の一方から受領できる報酬額
取引額報酬額
取引額200万円以下の金額取引額の5%以内+消費税
取引額200万円を超え400万円以下の金額取引額の4%以内+消費税
取引額400万円を超える金額取引額の3%以内+消費税

不動産を購入する場合、仲介手数料以外に、一般的には以下の費用がかかります

  1. 登記報酬:抵当権設定登記、所有権移転登記などの司法書士報酬
  2. 登録免許税:登記にかかる登録免許税(印紙)
  3. 契約書印紙代
  4. 保証料、ローン設定費用

などです。一例として、5選万円の物件(住宅)を購入した場合)

■5,000万円|住宅ま場合の概算額
契約時費用:売買契約書の印紙1万円、仲介手数料156万円+税
借入時(銀行ローン):金銭消費貸借契約書(ローンの借入れ契約書)の印紙2万円、融資事務手数料3万円、ローン保証料100万円(金利に上乗せの場合は0円)、抵当権設定の登記費用(登録免許税+司法書士費用)25万円、その他火災保険料など。
引渡し時:所有権移転登記80万円 (登録免許税+司法書士費用、不動産価格=評価額の場合)
合計:約365万円  

その他、不動産取得税、固定資産税の精算費などもかかります。ので、概ね物件価格の7~10%くらいは本体価格とは別の経費がかかると考えてください。

賃貸の場合の費用

  1. 敷金:相場は家賃1カ月分です。基本的には原状回復にかかった金額が差引かれ戻ってきます。
  2. 礼金:相場は家賃1カ月分。部屋を所有する大家に対しお礼として支払います。退去時に返還されません。※法的意味合いは曖昧ですが、大家も賃貸物件を募集する際にいろいろ経費がかかるということですね。
  3. 前家賃:家賃1カ月分。入居月の家賃を前払いで支払います。月の途中からの場合は日割り家賃が発生します。
  4. 仲介手数料:家賃1カ月分+消費税が上限です。物件の仲介を行った不動産業者に支払います。宅建業法で上限は「家賃の1カ月分」と規定されているため、これ以上を取ることはできません。
  5. 火災保険料:水漏などに備え、損保に加入する必要があります。民泊の場合は、さらに業務災害保険などに任意で加入する必要もあるでしょう。
  6. 保証料:家賃+共益費半月分が目安です。家賃保証会社を利用する場合に支払うもので、返還はありません。家賃を払えなくなった場合の保証を売れるための費用です。連帯保証人で保証する場合は、通常不要ですが、民泊やテナントの場合は、両方必要なケースも想定して下さい。
  7. 保証金:賃貸借契約時に、借主から貸主に支払う「敷金」を拡大解釈した概念で、テナントの場合、敷金とは別の場合もあります。家賃滞納などの場合に備える目的で、一部は、退去時に原状回復費用として差し引かれたり、そもそも、一部を返還しない旨の契約(いわゆる保証金の償却)だったりと、満額は返還されないと考えてください。テナントの場合標準的には6か月、3か月分~12か月分等、テナントの規模や地方により様々です。

以上、賃貸にかかる経費でしたが、最低でも敷金+礼金+前家賃+仲介手数料+保証料は想定し(家賃5.5月分)、その他、保証金がかかる場合があると考えてください。

以上、物件取得にかかる費用(物件の取得費、賃料)を解説しましたが、次回は旅館業の「申請に係る費用」を解説します。

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