改正旅館業法の罰則について

旅館業法罰則の強化

改正旅館業法については、第10条以降に罰則が規定されていますが、従前に比べ強化されていますので、今回は、旅館業法における罰則について解説いたします。

①6月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金又はこれを併科

第十条 次の各号のいずれかに該当する者は、これを六月以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第三条第一項の規定に違反して同項の規定による許可を受けないで旅館業を営んだ者
解説:無許可営業の罰則です。従前は罰金が3万円でしたが100万円まで引き上げられました。
二 第八条の規定による命令に違反した者
解説:第8条の規定とは、都道府県知事等の発する業務停止命令違反のことです。

50万円以下の罰金第十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、これを五十万円以下の罰金に処する。

一 第五条又は第六条第一項の規定に違反した者
解説:
第5条とは、宿泊拒否の禁止規定違反です。伝染病などの合理的な理由がない限り宿泊を拒んではなりません。
簡単にいうと、「伝染病」「風紀を乱すおそれ」「宿泊スペースに余裕がない」などがこれに当たります。
第6条:宿泊者名簿を備えていない、必要事項の記載、知事等(委任を受けた保健所長)の閲覧拒否に対する罰則です。
宿泊者名簿を備え、宿泊者の氏名、住所、職業その他の厚生労働省令で定める事項を記載し、都道府県知事等の要求があつたときは提出しなければなりません。
二 第七条第一項又は第二項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は当該職員の検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対し答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者
解説:これは文字通りですが、検査を拒んだり、嘘をついたりした場合の罰則です。
三 第七条の二第二項又は第三項の規定による命令に違反した者
解説:旅館業の構造設備、公衆衛生、風紀上の理由による立ち入り調査を拒んだ場合などの罰則です。

③拘留又は科料

第十二条 第六条第二項の規定に違反して同条第一項の事項を偽つて告げた者は、これを拘留又は科料に処する。
解説:宿泊者が名簿模記載事項である「宿泊者の氏名、住所、職業等」について、虚偽の情報を営業者に告げた場合の宿泊者に対する罰則です。
第十三条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第十条又は第十一条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
解説:従業員等や委託先等が罰金刑以上の旅館業法違反を行った場合、営業許可を受けている者(法人や営業許可を受けた個人)も同様の罰則が適用されるという、いわば「連帯責任」が規定されています。従って、旅館業の運営を委託したり従業員を雇用する場合、その選定には注意してください。※旅館業の業務委託先は住宅宿泊事業のような明確な資格要件、登録制度などはありません。

住宅宿泊事業法(民泊新法)と旅館業法との関係

以上、罰則について解説してきましたが、最後に住宅宿泊事業法との関係をお話いたします。
住宅宿泊事業における住宅宿泊事業者の罰則については、例えば、180日の日数制限違反については、住宅宿泊事業上の罰則規定はありません。これはどういうことかというと、180日以上営業すると旅館業法に違反したことになり、従って、旅館業法上の無許可営業の罪に問われることとなります。こちらについても十分ご注意ください。

その他の罰則規定

これとは別に、自治体が独自に定めた旅館業の営業許可要件に違反すると、「営業許可の取り消し」や「営業停止」、「是正の命令」などの対象となる可能性があり、例えば、緊急の駆付け対応の違反や常駐要件の違反等については、法律上の罰則の摘要がないというわけではなく、営業の根底にかかわる重要な違反となることも十分考えられます。

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