★重要★2016.4.1旅館業法施行令改正の内容

今回は、4月からの規制緩和に向けて、旅館業法の法体系の説明と実際2016.4.1規制緩和後の運用見込みについてお話したいと思います。

旅館業法と関係規定の整理

日本には宿泊業を規制する法律として昭和27年に制定された旅館業法があることはご存知だと思いますが、この法律には多くの関係する政令や規則があり、細かい規定は、自治体の条例などで規定されていたりします。一般的に法律は、

1 法律

1-1 政令(施行令)

1-1-1 施行規則

という風に階層があり、詳細な部分については、下位の規定で具体的に定められている場合がほとんどです。

旅館業法は制定では、これに、国のガイドラインとしての衛生管理要領各自治体の条例、規則、そして自治体自体のガイドラインといった複雑な構造で運用がなされています。したがって、法律や施行令を見ただけでは、実際の許可基準や運用指針を判断することが難しく、営業許可の申請を行う場合、必ず自治体の条例等を確認しなければなりません。

簡易宿所の許可で特にハードルが高いのは、面積とフロントの設置

民泊がこれほどクローズアップされる前から、行政は、しきりに簡易宿所の許可を取るように指導してきました。

簡易宿所というのは、もうご存知の方が多いと思いますが、旅館業法に定める4つの営業形態の1つで、「宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業」と定義されています。

具体的には、カプセルホテルのように部屋にたくさんベッドを置いて多人数を宿泊させるような形態を想定しています。その他、バンガローやユースホステル、貸別荘などもこうした形態を取っているケースが多いですね。

簡易宿所許可のハードル

さて、何も、グレーゾーンで民泊をやらないで、堂々と許可を取ればいいじゃないかという意見もあると思いますが、これがそう簡単にはいきません。旅館業法の基準を満たすには、

①面積要件:簡易宿所の場合、33㎡以上

②玄関帳場(フロント)の設置要件:旅館業法上マストというわけではありませんが、旅館業法を管轄する管轄する厚生労働省から自治体への通知(指導)により、フロントの設置を条例などで義務付けている自治体が多数あります。

③消防法令の適合:自動火災報知設備の設置

④設備の要件:トイレや洗面所の個数の要件。人数当たりの設備の個数が規定されています。

⑤建物の場所の要件:そもそも宿泊施設の用途に使用できない地域があります。

上記の③と④については、費用は掛かりますが、設備を増設すれば対応できますが、①、②、⑤については、現実に難しいと思います。特に①の面積要件については、どうすることもできませんでした。

面積とフロントの設置要件の緩和

ところが、本年4月1日に、旅館業法施行令が改正されて合計面積33㎡以上が一人当たり3.3㎡以上に緩和されます。そして、これに付随して検討されているのが、②の玄関帳場の要件の緩和です。

玄関帳場とは、つまりはフロントのことで、ホテル旅館には義務付けられています。簡易宿所には、法令上の義務付けのルールはないのですが、厚生労働省から各自治体(都道府県や特別区)に「ホテル、旅館に準じて設けること」という通知がなされていて、多くの自治体はこれに倣い、条例や規則でフロント設置を義務付けています。

しかし、今回の改正により、自治体側が、フロント規制を緩和する公算が大きくなりましたので(時期は不明ですが)、許可が取り易くなるのは確かだと思います。

追記 2016.3.23

簡易宿所については、トイレについての要件は、家主用(従業員用)と宿泊客用途に分かれている必要があるという指導をしている自治体があると思います。つまり2つ必要ということですが、フロント機能を宿泊場所とは別に設けることにより、トイレの個数についても柔軟に対応してもよいのではないかと思います。

実質的に、トイレを増設するのは費用面で結構な出費となるので、この点が緩和されれば、申請者も増えて適法な、簡易宿所の許可が取り易くなると思います。

各自治体には、ぜひともこのあたりの柔軟な対応を期待したいです。

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