民泊サイトと旅行業

よく、民泊サイトは旅行業法の登録を受けていないので、無許可営業ではないかということがいわれていますが、今回は旅行業について、法律的な側面から解説していきます。

旅行業とは

旅行業の定義は、旅行業法第2条第1項に規定されていますが、

報酬を得て
②一定の行為(旅行業務)を行う
事業 

をいいます。

旅行業または旅行業者代理業者を営もうとする者は、国土交通大臣が知事の登録を受けなければなりません。 

●第1種旅行業
国土交通大臣の登録。国内外のすべての旅行業務を取り扱い可能
●第2種旅行業
すべての国内旅行業務、募集型企画旅行の実施以外の海外旅行業務を取り扱うことが可能。 外国人も含みます。主たる営業所を管轄する都道府県知事の登録が必要です。
●第3種旅行業
国内、海外旅行ともに募集型企画旅行の実施以外の旅行業務が可能です。
第3種旅行業者自らが募集型企画旅行を実施することはできません。主たる営業所を管轄する都道府県知事の登録が必要です。
●旅行業者代理業
 旅行業者代理業者は、所属旅行業者との代理契約に基づき登録を申請します。業務範囲は、所属旅行業者の委託する範囲になります。2以上の旅行業者を所属旅行業者とすることはできません。主たる営業所を管轄する都道府県知事の登録が必要です。

一定の行為(旅行業務)とは?

旅行業法2条の定義ですが、意訳すると「旅行者と運送、宿泊、運送等関連サービス提供機関の間に入り(つまり仲介し)旅行者が運送、宿泊、運送等関連サービスの提供を受けられるように旅行を造成又は手配する行為及び旅行相談に応じる行為」を言います。
つまり、旅行者と宿や交通期間とを仲介して旅行を成立させるような行為のことで、旅行代理店や旅行サイトなどが行っている業務を指します。
具体的には、
遊園地を予約する。動物園を予約する。山登りを企画するといった程度であれば、旅行業に当たりません。
ただしこれに、「宿」や「バスや新幹線」の手配などが付随すると旅行業に当たります。
旅行業を行うには、行政庁への登録が必要で、無登録で行うことは禁止されています。
※最近大手スポーツ用品店の運営会社が書類送検されました。→http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160728/k10010611951000.html
この会社は、山登りを企画し、宿の手配を無許可で行っていたようですが、山登りの規格だけで現地集合現地解散ならば登録は不要です。ただ、宿や交通手段を手配したのが旅行業法に違反ということなのです。

登録行政庁への登録

旅行業法第3条により、旅行業等(旅行業及び旅行業者代理業)を行う場合は、登録行政庁(観光庁長官又は都道府県知事)に登録を受けなければなりまん。
【登録権者】
・第一種旅行業→観光庁長官
・第二種旅行業、第三種旅行業、旅行業者代理業→都道府県知事
多くの業者が登録を行わないのは、資力(=金)の問題ともいえます。
この表を見て分かる通り、旅行業の登録にはそれなりの資力が必要で、海外旅行を取り扱う場合最低でも1400万円必要となります。( )内は旅行業協会に加入している場合の分担金です(売上7(2)億円未満に限る)。

旅行業者の登録要件

①定款、法人登記簿の目的に旅行業当の文言があること

●旅行業→「旅行業」又は「旅行業法に基づく旅行業」などの記載

●旅行業者代理業の場合→「旅行業法に基づく旅行業者代理業」

②基準資産額について(旅行業法施行規則3条、4条)

上記の表の通りです。       

※年間取引額が第2種は7億円未満、第3種は2億円未満、地域限定は5,000万円未満の場合は分担金を旅行業協会の会員となり安価な分担金で登録することも可能です。ただし、それでも最低60万円必要です。旅行業者代は基準資産額要件はありません。

③旅行業務取扱管理者の選任(旅行業法11条の2)

旅行業務取扱管理者とは、旅行業務 取扱管理者試験に合格した者であり旅行業に必要不可欠な資格です。

総合又は国内の旅行業務取扱管理者の選任が必要、

海外旅行は、必ず総合旅行業務取扱管理者の選任が必要です。

※1営業所につき1人以上の旅行業務取扱管理者(常勤専任)が必要。※ 旅行部門の従業員数が10名以上の営業所は、2人以上の旅行業務取扱管理者が必要となります。

民泊における旅行業法の問題


これは、そもそもあり方検討会での議論の前提となったものですが、民泊が旅館業法上の宿泊サービスに該当するならば、それを仲介するAirbnb等の仲介業者は旅行業の登録が必要ということになります。

罰則規定も重く、未登録営業が100万円以下の罰金ですから、旅館業法と比較してかなり重い罰則となっています。民泊サイトといわれるHomeAwayやAirbnb、中国系のサイトはどれも登録されていないようです。※なお、仮に民泊が宿泊ではなく借家だとしても、制約したら手数料を取っていますから、宅建業の免許が必要になりますね。


対して、HomeAwayの親会社のエクスペディア(エクスペディアホールディングス株式会社)、世界的な旅行サイトのBooking.com(Booking.com Customer Service Center Japan株式会社)については登録された正規の業者ということになります。

※東京都が旅行業者のリストを公開していますので参考に掲載します→http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/sinsei/tourism/e0f91fd9ece1d717334ff898742a78af_1.pdf

旅行業法については、新法の中で新たに仲介事業者制度を設けることが検討されていますが、新法により適法となる公算が大きいと思います。ただ、要件などはまだ明らかにされていませんから、引き続き政府の動向を注視したいと思います。

※旅行業の登録も承ります。

旅館業、簡易宿所の許可についてはこちらから☟

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