手抜きマンション(第2回) 基礎杭・耐震基準

マンションの基礎杭

マンションの基礎杭の問題は、何かと昨年話題となりましたが、そもそも基礎杭とはどのようなものなのでしょうか?
大型のビルは、ものすごい重量があります。一軒家や木造の建物であれば、地面の上にコンクリートの基礎を打ち、その上に建物を建てれば完成です。昔の建物などは、単に大きな岩や柱の下だけコンクリートを敷いて基礎にしている場合もありますが、上物が軽量なので、それでもよいのだと思います。
ただし、大きなビルはそうはいきません。20階建てのマンションの基礎は、杭を打ち、地表の岩盤が軟弱な場合は、硬い岩盤まで掘削し、支持層に付き刺して設置して、重量のある建物が地震などで倒れないように支えているのです。

基礎杭の種類

杭打ちする基礎には多くの工法がありますが、大きくは、以下の図のように分類されます。

硬い岩盤が地表付近ない場合は、支持杭を打ったり、摩擦杭を打ったりします。多くの建物は支持杭が使用されていると思われますが、摩擦杭は軟弱層が何百メートルもあるような場合に使用されます。ちなみに、摩擦とは、地面と杭との摩擦で固定するということです。例えば「釘」を思い浮かべてほしいのですが、木に釘を打つ場合、特にボルトや接着剤で止めているわけではないのに木が固定されるのは、木の圧力により釘が抜けないわけなのですが、摩擦杭はこの仕組みと同じですね。

支持杭の杭打ち不良

さて、問題になっているのは、支持杭で、何本かの支持杭が岩盤に到達してないので、マンションが重さで沈み込んで、傾いたわけです。つまり、支持杭を打つのであれば、きちんとすべての杭が岩盤に到達していなければならないということがわかりますね。私自身、ちょっとくらい大丈夫だろうと思っていましたが、どうやら、そうではないようですね。考えてみれば、古いマンションは、自重で少し(数ミリ)沈み込んでドアや窓の開閉がおかしくなっているような建物も無くはないですが、沈み込みの度合いが、同じであれば、おそらくは大きな問題にはならないのだと思います。ちなみに、くい打ちをする場合、複数の工法を組合さないという原則がありますが、これは、沈み込みの程度に差が生じるからだと思います。
問題のマンションのように、一部の杭が岩盤に到達してない場合は、力が均等にかからないので、結果的に、軟弱な個所だけが沈み込んで、結果的に建物に傾斜がついてしまうんだと思います。

耐震基準の変遷

したがって、私は、マンションを買いたいという人にアドバイスしたり、コンサルティングを行ったりするのですが、あえて「中古」をススめます。なぜ中古がよいかというと、ある程度の時の経過を経てそこに所在しているので、例えば、東日本大震災を耐えたマンションは、施工やデータの改ざんがどうであれ、実際の地震に耐えたという結果が出でいます。
耐震基準は過去に2度ほど大幅に改正がありましたが、理論上、新しければ堅牢ということになるのですが、やはり、そこは人が作った建物であるので、設計通りに施工されているかは、こうした事件を見ても明らかなように「わからない」というのが答なのかもしれません。
耐震基準の変遷は以下のようになっています。
古←
1971(耐震基準強化)
1981(昭和56年)
(新耐震基準)          
2000(耐震基準強化)
2005(耐震偽装事件)
2011(東日本大震災)

昭和56年(1981年)6月 新耐震基準

新耐震基準(築30年) 有名な耐震基準の大改正です。宮城県沖地震により強化され、建築基準法が改正されました。震度5強でも建物が損傷しないような基準となっています。補助金や減税などもこの基準に適合していることが要件となっています。

2000年更に耐震強化 新・新耐震基準と耐震偽装事件

曲げせん断力に対しても、基準が強化されました。この新・身体真に向けて、マンション建設コストが上昇するのを、手抜き工事でコストカットしようとして構造計算を偽装したのが、かの有名な耐震偽装事件です。構造計算上ギリギリのところまで、鉄筋を抜いてましたね。木造の基準も強化され、筋交いを入れるようになりましたが、基準改正に伴い、耐震リフォーム詐欺も横行しました。

東日本大震災(M9.0 東京で震度5強)

M9.0という未曽有の大地震が東日本を襲い、東北地方は津波で大打撃を受けました。東京でも震度5強という新耐震基準の揺れ(さらに超長期振動を伴いました)を体験しました。皮肉なことに耐震偽装マンションも揺れに耐えていますので、当時、姉歯建築士が「構造上問題ない」と言っていましたが、震災で立証された形になりました。

もちろん旧耐震のマンションも倒壊したものはありませんでした。昭和40年代のビルでも、揺れながら耐えました。

マンション選びのポイントは

したがって、私は、マンションを買いたいという人にアドバイスしたり、コンサルティングを行ったりするのですが、あえて「中古」をススめます。なぜ中古がよいかというと、ある程度の時の経過を経てそこに所在しているので、例えば、東日本大震災を耐えたマンションは、施工やデータの改ざんがどうであれ、実際の地震に耐えたという結果が出でいるからです。
先に述べたように、耐震基準は過去に2度ほど大幅に改正がありましたが、はっきり言って、実際のところは、どの程度の強度があるのかは、わかりません。新耐震であれば、建築確認の際に、理論上の耐震性はクリアしているため、問題はないように思えますが、それ以前の建物については、「耐震診断」を行わないと、理論値さえも不明です。

特定緊急輸送道路

仮に、旧耐震の古いマンションを選ぶ場合は、東京であれば、幹線道路通り沿いをお勧めします。「特定緊急輸送道路」に指定されている道路については、都の条例で耐震診断が義務付けられていますし、耐震補強工事を行っている建物もあります。
条例第7条第1項に規定する特定緊急輸送道路(概要)
特定緊急輸送道路とは、災害時の緊急用の道路のことで、緊急車両や、物資を運ぶための特定の道路で、この道路に建物が倒壊すると、緊急車両の通行が妨げられるため、周りの建物の耐震強化が促進されているのです。ラッキーな場合は、耐震補強(開口部などを鉄骨で補強している建物を見たことがありませんか?)工事を施工している場合も多いです。
さて、賃貸や民泊をやるような場合は、あまり耐震性などは考慮しないかもしれませんが、特に物件を購入する場合については、予備知識として重要だと思います。住宅ローン減税や補助金、金融機関の建物の評価額や保険についても、耐震基準は関係してきますので、少なくとも「昭和56年新耐震基準」というキーワードだけは、覚えておいてほしいと思いますね。

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